2012 Fiscal Year Research-status Report
一酸化炭素局所投与による熱傷後敗血症の生存率向上効果の検討
Project/Area Number |
24592727
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤松 順寛 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50302112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 聡 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00307638)
久志本 成樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50195434)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱傷 / 感染 / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
H24年度は熱傷後にTwo-hit phenomenonを再現するため、その予備実験段階としてIII度熱傷モデル確立と生存持続期間の確認を目標に実験を施行した。 受傷前日にBalb/c雄マウス(25g前後)背部の脱毛を行い皮膚の損傷程度を確認、受傷時の苦痛軽減目的に鎮静・鎮痛薬の投与量(セボフルラン、ケタミン、キシラジン、ブプレノルフィン)の調整をはかった。 Meehの公式により25%熱傷面積からラバー孔の大きさを算出し、100℃のお湯を沸かしたビーカーの蒸気で一定の熱傷面積を確保するためラバー孔の大きさや厚み、脱毛範囲を調整した。また脊髄・臓器損傷の合併症に留意しながら受傷部位を調整し25%III度熱傷モデルを確立させた。今後の感染モデル確立のためには一定の熱傷モデル作成が基盤となり実験を左右するものであるため重点をおき取り組んだ。 受傷後は連日包交を要するため被覆材の種類やマウスの動作を損なわないドレッシング法を検討した。また創部塗布剤といて用いる白色ワセリンの適用量を測定した。さらに病理にて臓器損傷の有無、熱傷の深達度における経時的変化を確認した。 人道的エンドポイントを留意しながら受傷マウスが熱傷以外に障害なく一週間以上生存する事を確認し、受傷部位の治癒過程も観察した。以上21匹のマウスにて上記を確立させた。 第二段階として局所塗布や非熱傷部位への接種によるsecond hitで死亡する感染モデル確立の実験を開始した。初めに感染起因菌として用いるMRSAや緑膿菌の菌種を前稿論文を参考に検討し、現在接種量や感染菌量調整に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物実験申請の段階において、実験開始許可が下りるまで、更に感染実験を伴う為の実験室の使用許可が下りるまでに約8ヶ月の時間がかかり動物実験の開始が大幅に遅れた。 その後、熱傷モデルの作成、熱傷皮膚の被覆、日々の創傷面処置等を如何に効率的且つ確実に行うかの予備実験を行い、III熱傷後感染モデルを作成しようとしたところ、細菌処理を行う実験室が工事に入り使えなくなった。その為、本研究の要であるTwo-hit phenomenon(重症熱傷とそれに引き続く感染が病態を相乗的に悪化させる現象)を再現するマウスモデルを作成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
大幅に遅れている動物実験を迅速に進める為に新たに研究分担者に動物実験担当として2名を追加する。この措置により、観察動物数の増加が可能となり、複数の実験群を同時に実施可能となる事が見込まれる。又、細菌感染実験の為、細菌培養、定量の研究分担者を1名追加する。この措置により、研究代表者及び動物実験担当の研究分担者が動物実験に時間及び労力を更につぎ込める事になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度で使用した研究費は、前述した如く実験開始そのものが遅れた為、III度熱傷モデルの作成、検証に必要な額のみであった。25年度には、当初24年度に予定していた研究を行うと共に、25年度予定研究の一部を行う予定である。 まず、III度熱傷に、生菌感染(熱傷部への生菌塗布又は非熱傷部位への生菌注入)を加えたTwo-hit phenomenonのモデルを作成し、熱傷局所への一酸化炭素投与又は一酸化炭素放出剤(Carbon Monoxide Releasing Molecule; CORM)投与を行なう。研究費の使用用途としては、生菌(緑膿菌、MRSA)、培養関連消耗品、一酸化炭素ボンベ、レギュレーター、流量計、ガス探知機等の器具の他、チューブ等の消耗品、CORM等の薬剤を購入予定としている。 Two-hit phenomenonを改善させる効果が認められた場合には、当初の予定通りに、血液生化学検査、各種ミトコンドリア機能の解析を行なう。更に、Two-hit phenomenonの伴う免疫不全状態の検討としてサイトカインを測定しTh1/Th2バランスの解析を行なう。これらの解析の為に薬剤及びELISAキットを購入予定とする。
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