2013 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経損傷後におけるニューロン・グリア相互作用の解明
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24592729
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
伊関 憲 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70332921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 薫 山形大学, 医学部, 教授 (30234975)
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Keywords | グリオーシス / 凍結脳損傷 / コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / 核内脂質代謝酵素 |
Research Abstract |
中枢神経損傷後には軸索再生が妨げられ、神経回路の再形成が妨げられる。その原因の一つとして、中枢神経系では損傷部位にグリア細胞の増殖、すなわち『グリオーシス』と呼ばれる現象が起こる。このグリオーシスでは、アストロサイトやミクログリアなどが活性化され、軸索反発因子が大量に産生される。正常ではニューロンとグリア細胞は互いに連携し『Neuron-glia interaction』により制御されるが、『中枢神経損傷後のNeuron-glia interaction』については、詳細なメカニズムの解明はなされていない。今回の研究では凍結脳損傷モデルを用いてこれらの一連のメカニズムを解明し、神経再生を図るものである。昨年度は、脳損傷領域において転写因子OASISが反応性アストロサイトに発現増加していること、またこれらの細胞には、NG2プロテオグリカン、バーシカン、ブレビカン、ニューロカン、フォスファカンなどのコンドロイチン硫酸の発現も増加していることを明らかにした。本年度は、早期のグリアマーカーであるolig1、olig2の遺伝子変化をin situ hybridizationを用いて検討した。両遺伝子の発現は、損傷2日目より損傷周囲に認められ、7日目には最も強い発現を示した。さらに各種グリア細胞のマーカーとの二重染色により、遺伝子発現細胞はオリゴデンドロサイト前駆細胞のマーカーであるNG2やアストロサイトのマーカーのGFAPと共陽性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
頭部外傷を含む中枢神経系の損傷では後遺症が問題となるが、その原因は、損傷部位における神経軸索の再生が妨げられ、神経回路の再形成が阻害されることに起因する。これまでの研究により、中枢神経系では、受傷後の急性期炎症反応の消退に引き続き、損傷部位にグリア細胞の増殖、すなわち『グリオーシス』と呼ばれる現象が起こるとされている。前年度の研究では、グリオーシスにおいてプロテオグリカン類の産生を制御すると考えられている転写調節因子OASISを用いて明らかにしたが、今年度は、早期のグリアマーカーであるolig1、olig2の遺伝子変化を解析した。さらに、これらの遺伝子発現細胞をオリゴデンドロサイト前駆細胞のマーカーであるNG2やアストロサイトのマーカーのGFAPを用いて同定することができたので、研究はおおむね順調に進展していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
中枢神経損傷後のグリオーシスにおいて、これまで我々が着目してきたリン酸化酵素DGキナーゼ(DGK)の働きを解明するため、DGKζやDGKεのノックマウスにおいてプロテオグリカン類の発現解析を行う。さらに細胞培養を用いて神経伸張に関わる役割を検討していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)