2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592734
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今村 行雄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90447954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 直也 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (50359808)
精山 明敏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70206605)
神 隆 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (80206367)
三谷 智子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378757)
村上 由希 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50580106)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 敗血症性脳症 / 感覚神経障害 / 細胞外マトリックス分解酵素 / 体性感覚 / マウス脳 / 電気生理学的解析 / 生化学的解析法 |
Research Abstract |
敗血症性脳症の病態生理学的メカニズムを明らかにする目的で、敗血症マウスモデルを作成し、脳症における病態生理学的な解析を行った。敗血症マウスモデルは、盲腸結紮穿刺およびリポポリサッカライド(1mg, 腹腔内投与)により作製した。本マウスモデルにおいてはほとんどが20hrで致死に達し、その1-2時間前に脳症を発症することが他のグループによるこれまでの研究から明らかになっている。そこで、敗血症誘導後18hrにおける脳の器質的変化を調べた。その結果、細胞外マトリックス分解酵素群のうちMMP-9 (ゼラチナーゼ)の活性が顕著に増加していることが免疫染色法、ウェスタンブロッティング法により明らかとなった。次に、麻酔下のマウス脳に記録電極を差し込み、下肢痛覚神経刺激時の誘発電位を測定した。この記録電極は記録部分のみ(100-200μm)が導出し、他の部分はテフロンで絶縁しているため、局所的な脳神経細胞による誘発電位のみが記録できる。敗血症マウスでは体性感覚野、視床、前頭皮質における誘発電位の振幅が著しく減少した。以上の敗血症性脳症による生化学的、電気生理学的変化はMMPの阻害剤(GM6001)によって抑えられた。以上の結果から敗血症性脳症の病態発生に伴う感覚神経障害には細胞外マトリックスが関わっており、早い段階でその活性を制御することが障害を抑える上で重要であることが示唆される。以上の成果はBiochemistry&Pharmacology 2(1)(2013)1-7 (査読有、責任著者:代表研究者)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24-25年度の研究実施成果から、敗血症性脳症の病態生理学的な解析方法を確立しつつある。現段階において、研究実施状況は順調に推移しているといえる。その理由として、当初の研究計画申請書では初年度において、病態生理学的解析法を確立し、次年度以降に開発予定である積極的治療介入方法の評価法を構築していくことを予定しており、初年度の目標は遂行されたためである。また、以上の研究成果は国際的な査読付き英文誌6報 (主論文1報、関連論文4報、図書1)に掲載された。関連論文のうち1報は、クラッシュ症候群の病態に関する研究報告である(共著者として代表研究者も参画した)が、クラッシュ症候群の報告は炎症による分子メカニズムを検討したoriginal paperであり、H25年度以降の研究計画を促進することが期待される。さらに図書1に記述された総説において本研究計画の概要と今後の課題やその解決の筋道のための仮説を概説した。H25年度以降においては以上の研究成果および仮説に基づき、治療介入方法の探索に向けた研究計画を遂行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度以降においては、敗血症性脳症の治療介入方法を見出すべく、脳機能障害に関わる分子メカニズムの解明および治療介入効果の検討を行っていく予定である。具体的には、申請書に示したようにコリン作動性抗炎症性経路の活性化モデルによる敗血症性脳症治療介入効果について生きた丸ごとのマウスを用いた生理学的解析を行い、炎症性マーカーや脳機能に関わるマーカーを用いて分子レベルから病態解明を行い、治療介入方法をさぐる。手法としては、分子イメージング、脳血流イメージングなどを加えた包括的な研究を考えている。研究の進行状況を見て、進展が困難になる可能性を考慮し多角的かつ柔軟に研究を展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度において計上していた3200千円のうち、共同研究者には1200千円を配分した。その結果、H25年度にはH24年度の繰り越し分を加えた900千円を計上し、主に研究遂行上必要な消耗品購入に充てる。消耗品の内訳は、研究に使う動物(マウス)、抗体などの試薬、論文査読・掲載料である。
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Research Products
(7 results)