2012 Fiscal Year Research-status Report
異種組織界面における水チャネル分子AQP1の存在意義の解明
Project/Area Number |
24592761
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 芳朗 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60303129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アクアポリン / 運動器 / 歯根膜 / 密生結合組織 |
Research Abstract |
我々はラット歯牙組織発生過程の研究遂行中、物理的性質の異なる組織が連結する部位に、特異的にAQP1陽性細胞が局在することを発見した。これら組織界面に位置するアクアポリン1陽性細胞群は無細胞セメント質や固有歯槽骨表層で観察されたアクアポリン陽性細胞同様、無数の細胞突起を発達させていた。また、歯根膜同様な組織形態、機能を持つ腱組織を観察すると、腱組織にもアクアポリン陽性細胞が密に分布していた。 組織学的観察結果は歯根膜アクアポリン陽性細胞は腱細胞と同様な性質を有し、組織界面の構成に深く関与していることを想像させた。しかしながら、異種組織界面に存在するアクアポリン陽性細胞の細胞学的特性は未だ不明である。アクアポリン陽性細胞は強靱な運動器・咀嚼器の連結部分において見られるだけではなく、骨組織-鼻粘膜、口蓋粘膜-骨組織、皮筋-表皮、毛包-皮膚といった機械的ストレスの弱い部位にも存在するので、これらの細胞は新しい結合組織細胞の一種として分類できる可能性を示していた。次に我々は、アクアポリン陽性細胞の発生学的動態の解析により。様々な硬組織-軟組織移行部の発生および形成に大きく関与していることを明らかにした。咬筋の発生では咬筋筋膜形成部位、および顎骨埋入部位の発達にアクアポリン陽性細胞が関与していることが明らかとなった。また、歯根膜細胞の一次培養を行い、石灰化誘導培地により石灰化誘導を行うとアクアポリンの発現に変化が見られることが明らかになった。アクアポリンは歯根膜細胞の分化および形態変化に何らかの役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、形態学的、発生学的所見より、アクアポリン陽性細胞は生体各所に存在し、また、石灰化組織と密接な関係があることを確認した。これらの結果にもとづいて、細胞レベルでのアクアポリンの役割を検討するため、身体の様々な細胞の一次培養を行い、石灰化誘導培地により石灰化を誘導し、石灰化におけるアクアポリンやそのほかの細胞分化マーカーの発現がどのように変化するのか解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまであられた研究成果の、詳細な検討を行う。身体各組織でのアクアポリン陽性細胞のコラーゲン基質と石灰化組織に着目した微細構造学的観察。また、細胞培養実験の解析の後、SiRNAによるアクアポリンノックダウン実験を行い。石灰化誘導培地による、マーカー遺伝子発現の変化を、コントロール細胞と比較してアクアポリンの役割について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度行う予定であった、モデル動物を用いた実験を行う。モデル動物はod/odラットとTWY マウスの二系統を予定している。これらの実験動物は、コラーゲンの形成あるいは軟組織の石灰化の異常をきたすことが報告され、このような状況下でのアクアポリン陽性細胞の動態を明らかにする。
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