2013 Fiscal Year Research-status Report
異種組織界面における水チャネル分子AQP1の存在意義の解明
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24592761
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河野 芳朗 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60303129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
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Keywords | 運動器 / 密性結合組 / 歯根膜 / アクアポリン |
Research Abstract |
物理的性質の異なる組織が連結する部位に、特異的にアクアポリン1陽性細胞が局在する。 多くのアクアポリン1陽性細胞は密生結合組織の組織境界面に存在することから、コラーゲン合成との関連が推察されたため、コラーゲン合成に不可欠なL-gulono-gamma-lactone oxidase欠損モデルラット(od/od)の歯根膜の免疫組織学的解析を行った。これらのラットでは、歯根膜腔は拡大し、コラーゲン形成障害によるものと思われる疎らな歯根膜線維が観察された。アクアポリン1陽性細胞はアクアポリン発現を減弱することなく、むしろ、アクアポリンの免疫活性が上がっている像が観察された。これにより、これらの細胞でのアクアポリン1の発現はコラーゲンの合成とは無関係であることが示唆された。 歯根膜細胞の一次培養石灰化誘導実験では、誘導とともにアクアポリン1の発現は上昇したが、石灰化は見られなかった。これは、アクアポリン1の発現は石灰化には直接的には関与していないことが示唆された。また、細胞骨格との関連で、これらの細胞は線維性アクチンフィラメントに対して陰性を示した。これは、組織境界におけるアクアポリン1陽性細胞の特徴として、未熟な細胞骨格を持っていることを示唆していた。 アクアポリン1との様々な免疫多重染色を行い、アクアポリン1陽性細胞は組織に依存した異なる免疫組織学的特徴を持ち、それらの細胞の生物学的役割には多様性があることが示唆された。しかしながら、本細胞は共通の特徴として、無数の細胞突起を持ち、かつ、大きな細胞表面積を持ち、異なる組織境界面に局在していることがわかった。アクアポリン1の発現は組織境界という特殊環境における何らかの共通の機能を果たしていることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常組織での組織学的解析、および、vitroでの遺伝子発現プロファイルの解析を終え、更に石灰化とアクアポリンの発現の関係を解析した。また、壊血病モデルラットを用いてコラーゲン合成との関連を解析しアクアポリン発現とコラーゲン合成との関連を解析した。その結果、アクアポリンは細胞の果たす機能に特異的な役割というよりも、むしろ、細胞境界の特殊な環境に必須の細胞生物学的、あるいは、細胞生理学的役割を持っていることが推測される。これらの、生理学的、細胞生物学的役割を解析するため、アクアポリン1遺伝子欠損マウスを作成し解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
アクアポリン1遺伝子改変マウス作成について、ゲノムデータベースを検索しアクアポリン1遺伝子の構造を特定、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集ストラテジーおよびガイドRNAを決定する。決定したデザインに基づき。ガイドRNAおよびCas9発現ベクターを構築する。構築した4種類のベクターについて、HEK293T細胞内でのターゲット配列切断活性の評価を行う。 Vivoでのアクアポリン1の生物学的役割を解析するため、アクアポリン1遺伝子欠損マウスの樹立を行う。ガイドRNAを組み込んだCas9発現ベクター2種をC57BL/6Nマウスから採取した前核期受精卵にインジェクションし、F0マウスを作成する。 アクアポリン欠損マウス樹立後、様々な生理学的条件下ですでに蓄積したデータと比較して組織形態学的解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデルマウスの作成中であり、マウスの作成の各段階で必要経費が昨年度に処理できなかったものが、翌年度請求に回ったため。 モデルマウスを作成樹立時に昨年度繰越額を当てる。
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