2012 Fiscal Year Research-status Report
生後発育における三叉神経領域の小胞性アミノ酸輸送体の動態の解明
Project/Area Number |
24592762
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本間 志保 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (40372627)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 三叉神経 / VGLUT / VGAT / 機械受容器 |
Research Abstract |
小胞性アミノ酸輸送体は本来中枢神経系においてシナプスのある部位に存在し、神経伝達物質であるアミノ酸をシナプス小胞へ輸送する作用をもつ。しかし近年の研究でシナプス以外の部位にもこれらの物質が存在し、末梢神経系においても何らかの作用を発揮している可能性が示唆されてきた。そこで本研究では興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の輸送体(VGLUT)と、抑制性神経伝達物質であるGABAの輸送体(VGAT)に注目し、脳内および、末梢神経系における発現の検索を行った。口腔感覚領域では歯根膜機械受容器(ルフィニ神経終末)、歯髄(自由神経終末)、口蓋粘膜の機械受容器(メルケル終末)にVGLUTが認められた。一次感覚神経は中枢における興奮性伝達物質としてグルタミン酸を産生するが、末梢感覚受容器においてもグルタミン酸が働いているものと考えられる。中枢の三叉神経核では感覚核である三叉神経中脳路核にはその細胞体および細胞体に投射するシナプス終末にVGLUTの局在が認められた。三叉神経運動核においては、運動ニューロンに投射するシナプス終末にVGLUTが認められた。これらはグルタミン酸を含む興奮性シナプス終末と考えられる。VGATについては口腔感覚を司る末梢領域ではその局在は認められなかったが、三叉神経中脳路核および三叉神経運動核に投射する神経終末にはその局在が認められた。これらはGABA含有の抑制性シナプス終末と考えられる。VGLUTとVGATが同部位に観察された三叉神経中脳路核と三叉神経運動核についてはさらにその局在が異なることを明らかとするための二重染色を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VGATの末梢感覚受容器での検出に当初予定していたよりも時間がかかっている。また生後発育段階における小胞性アミノ酸輸送体の検出においても、幼弱動物の組織構築の保存に若干手間取りがあったため達成度としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降では中枢神経系ならびに末梢感覚受容器でのVGLUTの生後発育の過程における変化を明らかとする。具体的には歯の萌出時期と関連づけて試料をサンプリングし、歯根膜機械受容器、歯髄、筋紡錘におけるVGLUTの発現の観察をおこない、また機能発現との関連をカルレチニンを用いて蛍光二重染色により検索する。また末梢感覚受容器と中枢のニューロンとの関連を明らかとするため、蛍光色素で標識した逆行性とレーサーを標的とする末梢感覚受容器(咬筋、歯髄、歯根膜)に注入し、三叉神経節および三叉神経中脳路核ニューロンにおけるVGLUTとの蛍光二重染色を行い、分布の違いを比較検討する。細胞の大きさと感覚種類には関連があるとされており、中枢投射領域も異なっていることから、一次ニューロンの投射領域である三叉神経感覚核群におけるVGLUTの局在も検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)