2014 Fiscal Year Annual Research Report
味蕾の甘味情報伝達系におけるアディポネクチンの機能解明
Project/Area Number |
24592773
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
豊野 孝 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (10311929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 邦昭 九州歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (10112559)
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90291616)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 味蕾 / アディポネクチン / AdipoR1 / 味覚受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
アディポネクチンは、グルコースの恒常性維持および脂質代謝において重要な役割をはたしている。アディポネクチンは絶食時にはその血中濃度は高く、再摂食時には低下する。中枢神経系においては、絶食時にアディポネクチン受容体AdipoR1の発現量が増加し、摂食後減少する。絶食時にはアディポネクチンは中枢神経系に作用し、レプチンとは逆の摂食促進に働いている。しかしながら、味蕾でのAdipoR1の機能は明らかになっていない。そこで本研究では、絶食時における味蕾におけるアディポネクチン受容体の発現量の変化をリアルタイムPCR法にて調べた。さらに味覚感受性は摂食状態により変化することから、絶食条件による甘味、苦味、酸味およびうま味の味覚受容体の発現量の変化に関しても調べた。 絶食条件下の有郭乳頭において、AdipoR1の発現量が給餌条件下と比較して1.4倍に増加することが明らかになった。この結果より、味蕾においても中枢神経系と同様な、絶食時におけるAdipoR1の発現調節機構の存在が推定された。さらに絶食条件下の各種の味覚受容体において、酸味受容体PKD2L1よりも、甘味・うま味受容体T1R1, T1R2, T1R3の発現量が特に増加することが明らかになった。一方、苦味受容体Tas2r138の関しては、絶食条件下でもその発現量は変化しないことが明らかになった。このように絶食条件下において、特にT1Rファミリーの発現量の増加が認められたが、肥満ラットの味蕾においては、T1R3の発現量の低下が報告されている。これらのことから、肥満や痩身など、栄養状態により味蕾でのT1R3の発現量が調節を受けている可能性が推察された。
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