2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592779
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
澤田 隆 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (60125010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 和子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (60408317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 接合上皮 / 内側基底板 / ラミニン5 / 免疫組織化学 / in situ ハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
1.接合上皮―エナメル質界面の超微構造と化学組成を明らかにするために、サル歯肉を用い免疫電顕法により解析した。その結果、上皮―エナメル界面には厚い内側基底板と、これに面したエナメル質側に歯小皮が観察された。ラミニン5による免疫染色を行うと、基底板に沿って金粒子が沈着し、特にヘミデスモソーム直下に金粒子の集積が認められ、歯冠側に向かって粒子の数が増加した。歯小皮にも弱いながら金粒子の局在が認められた。歯冠側に位置する接合上皮細胞の粗面小胞体腔に反応がみられることから、この細胞がラミニン5を産生していることが示唆された。 2.接合上皮によるラミニン5の産生能につき、in situ hybridization法によりラミニン5γ2mRNAの発現をマウス歯肉で検討した。その結果、mRNAを発現している細胞は接合上皮の内、エナメル質に接した細胞に特異的であり、接合上皮を構成するその他の細胞には発現は認められなかった。そして、歯冠側に位置している細胞ほどその発現強度を増していることが明らかとなった。 3.インプラント体―インプラント周囲上皮界面における内側基底板の出現状況について、微細構造学的に検討した。用いたインプラント体の素材はハイドロキシアパタイト被覆、及びペロブスカイト被覆インプラント体である。その結果、両インプラント体界面には天然歯でみられるような基底板構造は形成されないことが明らかとなった。 4.内側基底板の形成には天然歯エナメル質の存在が必須か否かを明らかにするために、エナメリン遺伝子不全マウスを用い、エナメル質が欠如ないしその形成が極めて抑制されている状態において内側基底板形成能を検討した。その結果、エナメル質が欠如していても接合上皮は形成されるものの、同細胞は歯根セメント質と接着し、その界面には薄い基底板様構造とヘミデスモソーム様構造の形成が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯肉接合上皮―エナメル質界面の微細構造と化学組成について、通常電子顕微鏡、免疫組織細胞化学、およびin situ hybridizationにより検討した。まず、微細構造と組成に関しては、使用した材料の保存状態が良く、抗原性も良く保持されていること、さらに用いた抗体の特異性が高いことから、期待された所見を得ることができた。また、in situ hybridization については、良いプローブが作製できたことと、脱灰用サンプルの調整法が確立されているので、分解能が高く精度の良い結果を得ることができた。 これまでに得られた研究結果から、天然歯のエナメル質が内側基底板の形成・維持に重要であることが示唆されたことは大きな成果であり、今後の研究展開に資すると思われる。研究はほぼ予定どおりに進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
エナメル質―接合上皮界面では内側基底板に沿ってラミニン5が局在集積し、セメント質―エナメル質境界から歯冠側に向かって増加することが明らかとなった。歯面に面した接合上皮細胞が機能に応じてラミニン5を積極的に産生していることが示されたが、一方で、外側基底板に面した細胞については、ラミニン5の他にIV型コラーゲンやラミニン10など一般の基底膜でみられる成分の産生にも関与していると考えられるがその詳細は不明である。 そこで今後の研究方向としては、歯の萌出時にターゲットを絞り、歯肉接合上皮の発生に伴う両基底板の形成における上記遺伝子ならびに関連タンパク質についての発現動態を明らかにすることである。なお、これと平行して3次元培養歯肉組織を用いた実験系につき、本課題研究協力者と実際の手順について協議を進め、本年度中に予備実験に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯の萌出時に、歯肉接合上皮発生において内側基底板形成に上皮細胞と歯肉固有層細胞がどのように基底板成分の産生に関与しているかをin vivoの実験系ならびにin vitro実験系にて検討するために、in situ ハイブリダイゼーッション的検索(プローブ作製委託料含む)、ならびに免疫組織細胞化学的検索に必要な各種抗体と主用薬品類に使用する。なお、成果発表のための論文作成費(英文校閲料含む)にも使用する。
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Research Products
(2 results)