2012 Fiscal Year Research-status Report
骨特異的転写因子Osterixによる骨形成制御の新たな分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
24592784
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
中島 和久 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (90252692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 分化 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究は、骨特異的転写因子Osterix(Osx)による骨形成制御の分子メカニズムを解明することを目的として、Osxに結合してその活性を調節するcoactivatorsの同定とその相互作用の分子生物学的解析を目指している。 Osx遺伝子の破壊は骨形成を完全に抑制することから、Osxは骨芽細胞分化に必要であることが判明している。しかし、分子生物学的解析から類縁の転写因子に比べてOsxの転写活性可能は著しく低い。そこで、研究代表者はOsxに結合してその転写活性を調節する共役因子が存在すると仮説を立てて候補分子の同定を試みた。網羅的スクリーニングと既知の分子群の解析から、いくつかのOsx結合タンパク質の候補を得た。候補分子群から3種類の候補因子Osx coactivator 1(OSC1)と Osx coactivator 2(OSC2)、ならびにp300について解析を進めた。 2種類の候補因子Osx coactivator 1(OSC1)と Osx coactivator 2(OSC2)、さらにp300は単独ではレポーター遺伝子の発現を促進しないが、Osxと共存するとOsxの活性を相乗的に促進した。OsxのN末端は転写活性化を担うと考えられる。in vitroの解析から3種類の候補因子は全てこのN末端を介して転写の活性化に関与することが判明した。興味深いことに、OSC1とOSC2はもう1つの骨形成に必要な転写因子Runx2の転写活性には影響しなかった。 加えて、研究代表者は、OsxがCol1a1遺伝子の組織特異的発現に関与する事を見いだしている。Col1a1遺伝子の転写制御領域を用いたレポーター解析からも2種類の候補因子OSC1とOSC2はOsxの転写活性を相乗的に活性化することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスの遺伝学的解析からOsxがCol1a1遺伝子の骨組織特異的発現に関与する事が判明している。そこで、Col1a1遺伝子の転写制御領域を用いたレポーター解析を行うと、Osxはレポーター遺伝子の転写を活性化した。加えて、2種類の候補因子OSC1とOSC2とp300はOsxの転写活性を相乗的に活性化した。 研究代表者は、OsxとOSC1/OSC2がCol1a1遺伝子の転写調節領域にて相互作用するか否かをクロマチン免疫沈降法にての検討を企画しているが、この領域の基礎的解析は進んでおらず、Osxによる調節機構にも不明な点が多い。OsxによるCol1a1遺伝子調節機構の解明を先行させることで、共役因子の機能を解明を目指している。研究代表者は研究分担者の二藤彰らと筋肉分化におけるヒストン修飾酵素の機能解析を進めている。クロマチン構造の解析手法の習熟から得た知見をOsxの機能解析に還元したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
C2C12細胞株はBMP2刺激、あるいはOsxの強制発現にて骨芽細胞様の分化形質を獲得する。またC3H10T1/2細胞株ではOsxの強制発現によりCol1a1やオステオカルシンなどの骨芽細胞の分子マーカーを発現する。この2つの細胞分化モデルを用いて、Col1a1の遺伝子発現調節領域におけるOsx結合領域をクロマチン免疫沈降法にて同定する。研究代表者は研究分担者の二藤彰らと筋肉分化におけるヒストン修飾酵素の機能解析を進めている。クロマチン構造の解析手法の習熟から得た知見をOsxの機能解析に還元したいと考えている。この解析系の樹立を先行させた上で、抗OSC1/OSC2抗体と抗Osx抗体によるクロマチン免疫沈降法を行い、免疫沈降物に含まれる遺伝子断片よりCol1a1遺伝子のOsx結合配列を増幅して、OSC1/OSC2がOsxを介してプロモーター領域に結合するか否か解析したい。 さらに、この細胞系を用いてOsx とOSC1/OSC2の共発現によるCol1a1やオステオカルシン遺伝子の発現量の変動をRT-PCRおよびnorthern blot法により解析する。さらにこの解析系にて、相互作用を仲介する最小ペプチド領域のみを含む変異cDNA、ならびにOSC1/OSC2 shRNAの導入を強制発現させてその活性を測定する。加えて、骨芽細胞株およびC2C12細胞にOsx、Runx2、およびOSC1/OSC2を強制発現させて、骨芽細胞が豊富に合成分泌するI型コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質の内在性遺伝子の発現レベルの変動を、RT-PCRおよびnorthern blot法により解析することにより、骨特異的転写因子Osx、Runx2両因子とOSC1/OSC2の相互作用による骨芽細胞分化機構を解析したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
C2C12細胞株はBMP2刺激によってOsxを発現して骨芽細胞様の分化形質を獲得する。またC3H10T1/2細胞株ではOsxの強制発現によりCol1a1やオステオカルシンなどの骨芽細胞の分子マーカーを発現する。この2つのモデルを用いて、Col1a1の遺伝子発現調節領域におけるOsx結合領域をクロマチン免疫沈降法にて同定する予定である。これらの解析系の樹立には、細胞培養系、抗体を用いた免疫沈降実験系、ならびに遺伝子断片増幅実験系が必要である。さらに、western blot法など化学的解析手法も行う必要がある。これらの研究手法を遂行する為に細胞培養液と血清、培養器具などの細胞生物学的試薬、各種抗体やwestern blot法に必要な生化学的試薬、ならびにPCR法とnorthern blot法に必要な分子生物学的試薬が必要であり、これらの試薬類の購入に研究費を使用する計画である。 加えて、来年度の研究計画を見据えて、生体における各種転写因子の組織分布の検討を目的として、マウスを用いた組織学的解析を進める。この為にマウスの購入と飼育に研究費を使用する計画である。転写因子群の組織分布を解析するにあたっては、上記の抗体を利用した免疫組織学的解析を導入する。この為に必要な組織学的試薬の購入にも研究費を使用する計画である。
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Research Products
(4 results)