2012 Fiscal Year Research-status Report
好中球の細胞分化調節による歯槽骨代謝制御システムの構築
Project/Area Number |
24592786
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラクトフェリン / 骨芽細胞分化 / 破骨細胞分化 / LRP-1 |
Research Abstract |
平成24年度は、ラクトフェリン (LF) の骨髄細胞に対する細胞分化作用とその制御メカニズムを解明することを目的とした。動物実験では、卵巣摘出ラットにLFを経口投与することで、骨量低下が抑制された。組織学的解析により、LF投与が骨形成を促進し、破骨細胞数を抑制することが明らかになった。培養実験では、骨髄において、LFは、間葉系幹細胞と単球マクロファージに対して作用し、それぞれ、骨芽細胞分化を促進、破骨細胞分化を抑制することが示された。骨芽細胞分化においては、Alkaline phosphatase の遺伝子発現を亢進し、一方、破骨細胞分化では、cathepsin K, calcitonin receptor, nfatc1の遺伝子発現を抑制することで、それぞれの分化を調節していることが示唆された。LFのレセプターとして知られるlipoprotein related protein 1(LRP-1)の発現を検索した結果、間葉系細胞株C3H10T1/2細胞においては発現が認められたが、単球マクロファージには発現は認められなかった。破骨細胞の分化過程におけるLRP-1発現を検索したところ、分化誘導に必須なRANKLの刺激により、LRP-1は発現した。RANKL刺激前にLFを添加しても、破骨細胞分化抑制効果は認められなかった。平成24年度の研究により、以下のことが明らかになった。1) ラクトフェリンは、骨粗鬆症モデル動物の骨量低下を抑制する。2) 骨髄中の間葉系細胞と単球マクロファージは、ラクトフェリンの作用を受け、それぞれの分化が調節される。3) 単球マクロファージは、RANKL刺激によりLRP-1を発現し、破骨細胞分化が抑制される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で明らかにする項目のうち、1) ラクトフェリンの標的細胞の同定、2) ラクトフェリンにおける骨髄幹細胞分化調節メカニズムの解明、この二点を平成24年度の達成項目とした。標的細胞に関しては、間葉系細胞と単球マクロファージがラクトフェリンの作用を受けることが明らかになった。また、分化調節メカニズムに関しても、RANKL刺激後にラクトフェリン受容体であるLRP-1が発現し、転写因子であるnfatc1遺伝子発現を抑制することが示された。ラクトフェリンとLRP-1の結合に関しても、確認された。これらのことより、標的細胞の同定と分化調節メカニズムに関して、概ね解明したといえる。しかしながら、ラクトフェリン受容体LRP-1と破骨細胞分化の関連性について、不明なままである。したがって、予定より、若干遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に実施予定であった 1) LRP-1ノックダウンによる細胞分化への作用、2) 骨折部位におけるSca-1+, Lin- 細胞に対するラクトフェリンの作用の実験が完結されていない。これらの実験は、平成25年度の早期に完結させる。また、平成25年度に実施予定の好中球由来ラクトフェリンに関する実験に先立ち、好中球採取法の確立は必要不可欠であるが、上記の実験と同時遂行することが可能である。これにより、実験計画の遅延を改善する予定である。 培養実験では、① 好中球、骨髄マクロファージ、bone marrow stromal cellの共存培養、② 好中球培養上清で培養、③ Cell-Cell contactを除去するためトランスウェルを用いて培養、これらの条件下で分化誘導を行う。本実験により好中球の分泌物が細胞分化を制御することを検証する。さらに、標的細胞のLRP-1をshRNAでノックダウンし、分化調節因子が好中球由来LFであることを明らかにする。 動物実験では、骨欠損に対する好中球の作用を検討する。本実験では、マウス大腿骨に骨欠損(1mm径)を形成し、流出を避けるため1日後に欠損部位に好中球を注入する。修復初期に好中球を作用させ、早期治癒を試みる。これにより、好中球の骨形成促進作用を検討する。同様に、骨欠損を形成し、骨吸収が生じる骨欠損7日目に欠損部位に好中球を注入する。修復後期に好中球を作用させることで、破骨細胞分化を抑制し、新生骨の維持を試みる。これにより、好中球の骨吸収抑制作用を検討する。 以上の実験により、好中球による細胞分化調節機能を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に投稿した論文が受理され、その掲載料が平成24年度内に請求されなかったため、平成25年度へ繰越す研究費が発生した。したがって、本繰越分は、論文掲載料等に充てる予定である。また、その他の使用に関しては、主に、実験に不可欠な研究用試薬(組織解析用試薬、分子生物学的試薬、細胞培養用試薬、組み換えタンパク質など)である。そして、動物実験に使用するマウスの購入および飼育費用に研究費を充てる。また、研究結果報告や情報収集のために、学会(第2回IBMS、第55回歯科基礎医学会、第36回日本分子生物学会)に参加する予定であり、その参加費および旅費に使用する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Tetracyclines Convert the Osteoclastic-Differentiation Pathway of Progenitor Cells To Produce Dendritic Cell-like Cells2012
Author(s)
Kinugawa S, Koide M, Kobayashi Y, Mizoguchi T, Ninomiya T, Muto A, Kawahara I, Nakamura M, Yasuda H, Takahashi N, Udagawa N
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Journal Title
J Immunol
Volume: 188
Pages: 1772-1781
DOI
Peer Reviewed
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