2013 Fiscal Year Research-status Report
好中球の細胞分化調節による歯槽骨代謝制御システムの構築
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24592786
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
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Keywords | ラクトフェリン / 破骨細胞分化 / LRP-1 |
Research Abstract |
平成25年度は、1) ウシラクトフェリン(bLF)の破骨細胞分化に対して作用する時期、2) 好中球由来ラクトフェリン(nLF)の細胞分化への作用を解明することを目的とした。 第一の目的のため、破骨細胞分化工程のRANKL刺激前後で、bLFを培地に添加し、破骨細胞形成を評価した。RANKL刺激後にbLF添加することで破骨細胞分化は抑制された。すでに我々は、RANKL刺激により、骨髄マクロファージにbLFの受容体であるlipoprotein related protein 1 (LRP-1)が発現することを明らかにしており、LRP-1発現とbLFの相互関係が確認された。また、bLF添加が、破骨細胞分化を制御するSiglec15の遺伝子発現を抑制したことにより、bLFによる破骨細胞分化制御作用がSiglec15シグナルに関わることが示された。さらに、ヒト由来LFの破骨細胞分化抑制作用も明らかにしており、ヒトにおいても、LFの骨代謝に対する関与が示唆された。 第二の目的のため、チオグリコレート誘導好中球を腹腔滲出液より回収し、破骨細胞分化実験に用いた。次の条件下で破骨細胞分化誘導を行った。① 好中球、骨髄マクロファージ、骨髄間葉細胞の共存培養、② 好中球培養上清で培養、③ Cell-Cell contactを除去するためトランスウェルを用いた培養。いずれの実験においても、破骨細胞分化は抑制された。これら結果は、好中球由来の因子により破骨細胞分化が制御されていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の段階で、研究の進行が若干、遅れていた。しかしながら、その遅延も改善され、現段階では、ほとんど実験計画どおり研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、1) 好中球による細胞分化調節機能、2) 好中球の骨欠損修復への作用、3) 遺伝子変異および病的マウスに対する好中球の治癒効果を検討する。 第一の目的のため、骨髄マクロファージに発現するLRP-1をノックダウンし、骨髄マクロファージや骨髄間葉細胞との共存培養、好中球培養上清での培養、トランスウェルを用いた培養実験により、好中球の分泌物がLRP-1を介して、細胞分化を制御することを明らかにする。さらに、好中球が分泌する細胞分化調節因子を同定する。 第二の目的のため、マウスの長管骨に骨欠損を作成し、その部位に好中球、または好中球誘導物質であるformyl-methionyl-leucyl-phenylalanineを注入し、骨欠損修復を試みる。本実験により、好中球の骨欠損修復能を明らかにする。さらに、マウスの頭蓋部にLPSを投与し、3時間後に好中球を同部位に注入することで、炎症性骨吸収に対する好中球の効果を検討する。これらの評価は、in vivo マイクロCTおよび組織学的検証により行う。 第三の目的のため、RANKL のデコイ受容体であるosteoprotegerin (OPG)の欠損マウスを用いる。このマウスは、破骨細胞分化の促進により、骨粗鬆症や歯槽骨減少の歯周病と類似した病態を呈する。マウスの長管骨に骨欠損を作成し、前述と同様な実験を行う。本実験により、病的疾患に対する好中球の有効性を明らかにする。これらの評価は、in vivo マイクロCTおよび組織学的検証により行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の段階で、平成24年度から論文掲載料として研究費を繰越しており、その繰越額と支払い金額との差額が平成26年度へ繰越されることになった。 本繰越分は、研究試薬に充てる予定である。その他の研究費の使用に関して、主に、実験に不可欠な研究用試薬(組織解析用試薬、分子生物学的試薬、細胞培養用試薬、組み換えタンパク質など)である。そして、動物実験に使用するマウスの購入および飼育費用に研究費を充てる。また、研究結果報告や情報収集のために、学会(第32回日本骨代謝学会、第56回歯科基礎医学会、第37回日本分子生物学会、第36回米国骨代謝学会)に参加する予定であり、その参加費および旅費に使用する。
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Research Products
(12 results)