2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療薬による口蓋裂重症化抑制メカニズムの解明
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24592788
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
滝川 俊也 朝日大学, 歯学部, 教授 (90263095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 講師 (10360918)
高木 秀太 朝日大学, 歯学部, 助教 (10711351) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口蓋裂表現型 / 分子標的治療薬 / 上皮成長因子阻害剤 / DNAメチル化酵素阻害剤 / TGFβ3 ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は分子標的治療薬(上皮成長因子阻害剤またはDNAメチル化酵素阻害剤)の投与がC57BL/6J系統Tgfb3 ホモ胎児の完全口蓋裂をICR系統同マウスに類似した不完全口蓋裂に軽症化させる分子メカニズムを調査した。C57BL/6JとICRの2系統同マウスの対照群ホモ胎児の口蓋組織からタンパクを抽出し、Western Blotting法でインプリンティング遺伝子産物IGF2Rの発現量の変化、TGFβの下流に存在するシグナル伝達系の活性化の差異、および上記薬剤の投与がそれらの発現に及ぼす影響を解析した結果,対照群ではマウス系統により口蓋組織におけるIGF2Rの発現、p-ERK1/2、p-Smad1/5/8、p-PI3K、p-p38MAPK、p-Srcの活性化が根本的に異なっており、それらの差異が口蓋裂表現型の差異と関連していることが強く示唆された。また、DNAメチル化酵素阻害剤の投与はC57BL/6J系統のホモ胎児口蓋組織のIGF2Rの発現量をICR系統のそれと同等レベルにまで上昇させるだけでなく、p-Smad1/5/8とp-PI3KもICR系統のそれらと同等レベルに活性化させることが判明した。一方、対照群でC57BL/6J系統よりもICR系統で活性化レベルの低いp-Srcとp-p38MAPKが著しく活性化していることも判明し、p-Srcとp-p38MAPKの活性化を同時に抑制することにより口蓋裂表現型の軽症化の奏功率がさらに高まる可能性が見いだされた。これらの実験結果は前年度までにin vitro 解析で判明していた分子標的治療薬の投与による口蓋突起癒合部上皮細胞の上皮-間葉分化転換能力の上昇および口蓋突起癒合能力の上昇等の実験結果とも合致し、遺伝子異常による口蓋裂表現型をエピジェネティックに修飾している分子メカニズムの解明に大きく寄与する成果であると考えられた。
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Research Products
(1 results)