2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24592794
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
織田 公光 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10122681)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低フォスファターゼ症 / 先天性遺伝疾患 / アルカリフォスファターゼ / 発症メカニズム / 石灰化不全 / N結合糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天的な骨代謝異常症である低フォスファタターゼ症(HPP)は組織非特異型アルカリフォスファターゼ(tissue-nonspecific alkaline phosphatase, TNSALP)遺伝子上の様々な変異に起因することが知られている。最近430番目のアスパラギンがヒスチジンに置換された例が重症のHPPで報告された。そこで、430番目のアスパラギンに加えて他の4か所のN結合糖鎖のコンセンサス配列に該当するアスパラギン(N140、N230、N271、N303)についても糖鎖修飾の有無とTNSALP分子への影響を検討した。実験方法はアスパラギンを部位特異的突然変異法により他のアミノ酸に置換した糖鎖欠失TNSALPを哺乳動物細胞に発現して細胞生物学的に解析した。その結果、1)TNSALPは5個のN結合糖鎖を有すること、2)どのN結合糖鎖の欠損も単独ではTNSALP分子に影響を与えない、3)430番目のアスパラギンがヒスチジンに置換すると変異酵素は2量体を形成できずに酵素活性を失うことを明らかにした。4)また、N結合糖鎖を複数欠失したTNSALPの網羅的な解析からN230,N271とN303のN結合糖鎖がTNSALP分子の構造と機能に必須であることを見出した。
一方、408番目のプロリンがロイシンに変異した症例が優性遺伝する軽症例のHPPで報告されていた。そこで変異型の酵素を発現して細胞生物学的な詳細な解析を行ったところ、変異酵素は野生型酵素と同じく細胞表面に到達していたが、2量体形成ができずに活性を有しない単量体として存在していた。また、野生型酵素との共発現実験において本変異酵素が野生型酵素に対してドミナントネガティブな影響を与えることも確認した。
以上、2例のミスセンス突然変異に起因するHPPの分子基盤を明らかにした。
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Research Products
(3 results)