2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592798
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北山 友也 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (60363082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 克也 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (10116684)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PRIP / KCC2 / 神経障害性疼痛 / 抑制性シグナル |
Research Abstract |
我々は,PRIP-KOマウスの解析から,同マウスが神経障害性疼痛に対して抵抗性を示すことを見出している.しかしながら,PRIP分子がどの様にして痛みを制御しているかについては不明である.本研究では,このPRIP分子が疼痛制御にどの様に関わるのかを明らかにする目的で検討をおこなった. siRNAを用いた脊髄レベルでのPRIPの一過性発現抑制では,PRIP1型のみの抑制では,疼痛反応を惹起し,逆にPRIP1,2型の両方の発現を抑制すると疼痛を抑制することを見出した.このとき,PRIP2型のみの抑制では著変は認められなかった.そこで,PRIPがGABAA受容体の機能を制御する分子であることから,まずGABAA受容体機能変動について脊髄内神経回路を考慮した空間的な関連を検討したが,各種PRIPの抑制状態による差異は認められなかった.したがって,PRIP1,2型両方の抑制による疼痛寛解作用は,GABAA受容体以外の分子に関わる可能性が考えられる.そこで,数々の候補分子から,細胞内クロライドイオン濃度を制御するKCC2に注目し解析を進めた.KCC2は,細胞内クロライドイオンを細胞外へ排出する蛋白質であり,その発現抑制は難治性疼痛の発症原因と考えられている.その結果,PRIP1,2型両方の発現抑制による神経障害性疼痛の寛解作用は,KCC2の阻害薬であるR-(+)-DIOAの脊髄内投与により拮抗された.さらに,野生型に比べて,PRIP1,2型の両方を欠損させた動物では,KCC2の発現量が有意高いことが明らかとなった.したがって,PRIP1,2型両方の欠損による疼痛寛解作用は,KCC2の発現増強に起因する可能性が判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初における本研究の目的では,GABAA受容体を中心に解析を進める予定であった.理由としては,PRIPがGABAA受容体の機能を制御する分子であることが,すでに判明していたからである.そこで,まずGABAA受容体機能変動について脊髄内神経回路を考慮した空間的な関連を検討したが,疼痛に対する寛解作用に直接関連する知見は得たらなかった.しかしながら,他の分子の変動について検討を進めることで,この問題に素早く対応することができた. 神経障害・損傷に伴い発症する神経障害性疼痛の発症原因には,さまざまな分子機能の変調が報告されており,これら分子の中から,PRIPの発現の有無により変動する蛋白質を同定できたことから,本研究課題は順調に進展していると考えている.本研究で注目している蛋白質は,細胞内クロライドイオン濃度を調節する主輸送体であるKCC2である.同蛋白質は,細胞内クロライドイオンを細胞外へ汲み出す機能を有しており,過去の論文において,神経損傷に伴い発現が低下することが報告されいてる.また,KCC2の発現低下は,細胞内クロライドイオン濃度の増加,さらにその結果として抑制シグナルを変調させることが報告されいてる.したがって,KCC2の発現をPRIPが制御することにより,神経障害性疼痛を寛解させる可能性は極めて高いと推察される.以上のことからも,本研究課題は順調に推移していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
PRIP分子の発現抑制により,KCC2蛋白質の発現が増強されることを我々は明らかにした.しかしながら,PRIPがKCC2の発現をどのようにして制御するのかという分子基盤については,不明なままである.したがって,PRIPとKCC2との関連性について解析をおこなっていく. 神経障害性疼痛の発症には,様々な分子が関与しており,KCC2のみの変動では説明しきれない部分が存在する.そこで,過去に行った坐骨神経部分結紮モデルに対する網羅的解析の結果を利用し検討をおこなっていく.網羅的解析で明らかとなった候補分子について,その機能からさらに候補を絞って,PRIP分子との関連性を中心に難治性疼痛発症機構の解析をおこなう.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)実験遂行上の必要な備品購入はない.(現有備品で間に合う) 2)研究費は主に研究用試薬(実験動物の飼育・飼料費,細胞培養試薬,一般試薬,細胞培養用プラスチック製品)等の消耗品費購入に充てる。本研究課題において,遺伝子組み換え動物を維持することが必要である.そのためには,動物の飼育費が嵩むことが想定される.さらに培養,モデル動物作成に必要な試薬・手術道具の購入が必須である.また,標的遺伝子・蛋白質の同定には,幾多もの抗体を揃える必要がある.RNA干渉法に関しては,細胞への導入の検討のため,幾つかのベクターの購入,あるいはRNA合成が必要である.以上のことから,主な研究費を消耗品とする. 3)研究成果公表のために,学会発表旅費を計上する
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Research Products
(1 results)