2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592798
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北山 友也 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (60363082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 克也 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (10116684)
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Keywords | PRIP / 神経障害性疼痛 |
Research Abstract |
前年度における研究では,PRIPに対するsiRNAを用いた脊髄レベルにおけるPRIPノックダウン動物で疼痛反応に対する寛解作用が認められたことから,PRIPが脊髄レベルで疼痛シグナルを制御していることを示した.また,この制御に細胞内クロライドイオン濃度を制御するタンパク質であるKCC2が関与する可能性を見出した. 本年度は,この可能性について,詳細な検討をおこなった.PRIPノックダウン動物における坐骨神経部分結紮に伴う疼痛は,対照群に比べ有意に抑制されており,この抑制はKCC2の阻害薬で消失する.このため,PRIPによるKCC2の発現制御機構に焦点を絞り実験をおこなった.PRIPには,幾つかの機能が判明しているが,そのうちの一つにタンパク質脱リン酸化酵素の機能調節が報告されている.また,KCC2の細胞膜上への安定発現には,940番目のセリンのリン酸化状態が重要と報告されている.そこで,野生型動物とPRIPノックアウト動物とで,KCC2のセリン残基におけるリン酸化状態を免疫沈降法を用いて検討したところ,PRIPノックアウト動物脊髄におけるKCC2リン酸化は野生型に比べて亢進していた.したがって,PRIPによる疼痛制御は,KCC2のリン酸化状態を制御することによると考えられる. さらに,他のタンパク質とPRIPによる疼痛制御機構を解明する目的で,候補分子の検索をおこなった.数々の候補の中から,細胞内亜鉛イオン濃度を制御する亜鉛トランスポーターについて,検討を始めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PRIPによる疼痛制御機構を検討するためには,そのパートナータンパク質の同定が必要である.本研究では,初年度でそのパートナータンパク質を同定することができた.このことにより,本年度は,より詳細な検討をおこなうことが出来た.この結果,PRIPとKCC2との関係および疼痛制御機構について,研究としてまとめることができた. さらに,本年度中に,新たなパートナータンパク質候補の検索に移ることができた. 以上のことから,本研究課題は順調に推移していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に,PRIPとKCC2との関連性および疼痛制御機構の研究をまとめることが出来た.したがって,他の疼痛制御候補分子の探索をおこなう予定である.これには,過去におこなったアレイの結果を用いるため,候補分子の絞り込みはある程度進んでいる.これらの候補分子の疼痛制御機構およびPRIPとの関連性について,研究をおこなっていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画より、研究対象となる候補タンパク質が絞られたため、使用する試薬や動物の使用量を抑制することができた.また,本年度は,新たな候補分子の検索を始めたため,高額試薬の使用が減少したため、研究費の抑制につながったと思われる. 2014年度に所属が変更となり,新しい大学へ転出となった.このため,新たに研究用の物品の購入を予定している.また,研究用の試薬・実験動物などについても購入計画に入っている. これらの物品・消耗品については,大学にあるものを最大限に利用する予定であるが,不備がある場合に随時購入し,本研究課題を遂行する.
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