2012 Fiscal Year Research-status Report
新たな細胞間情報伝達分子としての唾液miRNAの基盤的研究
Project/Area Number |
24592800
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水澤 典子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80254746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 武男 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10350399)
吉本 勝彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90201863)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | microRNA |
Research Abstract |
細胞内では、遺伝子発現の抑制分子として機能するmicroRNA(miRNA)が、唾液中にも多量に安定して存在している。RNA分解酵素が多量に存在するあらゆる体液中で、miRNAは分解されずに検出されており、唾液miRNAは、超遠心分離法で得られるエクソソーム内に多く存在していることは、我々も本研究において確認した。唾液miRNAが、生体内の何らかの情報を示すバイオマーカーとなる可能性を考え、糖尿病者の唾液に特徴的なmiRNA種の特定を検討している。 唾液のmiRNAの定量に関しては、RNA抽出時の手技的な問題が大きいと考えられた。糖尿病者の唾液miRNAと各種パラメータ(年齢、性別、BMI等)の比較では、バイオマーカー候補となるmiRNA分子は得られていない。今後、さらに手法の異なる定量方法で検討を進めている。 特定のmiRNAの定量化は手法を変え依然慎重に検討を進める一方で、ヒト唾液miRNAで常に多量に検出されるmiRNA種については、口腔内および消化管への影響が考え、標的となるmRNAの特定を中心とした機能解析を進めている。口腔内組織を想定して用いるマウス歯肉上皮細胞株「GE1」でのmiRNAプロファイリングをマイクロアレイ法により行い、さらに、GE1において、炎症性サイトカインによって変動するmiRNAも網羅的に検討した。これらGE1におけるmiRNA発現パターンが、今後のmiRNAの導入実験およびエクソソーム導入実験に用いる出発点となる。GE1では発現していないが唾液には大量に存在している各miRNAを単独で導入し、また、炎症性サイトカインで低下したmiRNAに関しては、GE1へのmiRNA阻害剤を導入することで、標的となる遺伝子およびネットワークを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特定の唾液miRNAの機能解析において、miR-1246は唾液に多量に認められ、今後の口腔内における役割を解析していく最優先候補と考えていたが、このmiR-1246が偽miRNAである可能性が報告された(International Journal of Cancer 2012)。マイクロRNA(miRNA)は、ヒトでは約2,000種類ほど登録され、各miRNA個別の機能が注目されている。しかし、miRNAとして登録された後、偽miRNAとして登録を除外される例もあり、我々が唾液miRNAとして、唾液に量的に多い事から注目していたmiR-720、miR-1274a/b等も最新のデータベース(miRBASE Ver.19)では偽miRNAであったことから、本研究における機能解析を行う上での優先順位から外している。 我々の手法で定量している唾液miR-1246について検討した結果、我々が比較定量しているmiR-1246は成熟型miRNAであり、唾液中に大量に存在していることは確認された。一方で偽miRNA型のmiR-1246の存在も否定できないが、引き続き成熟型miR-1246を含めた複数のmiRNA分子に注目し、口腔内での役割検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで、 唾液miRNAに適した抽出試薬及び定量試薬を複数検討した。マイクロアレイとqRT-PCRに加え、今後は、RNA抽出段階を経ずにELISA様のキットを用いて定量化できるGeneQuant (Affimetrix)での比較も加え、より安定した定量化を試みる。 唾液中で量的に安定して検出されるmiRNA種については、唾液腺細胞株および歯肉上皮細胞株を用いて、miRNAの過剰発現系あるいは発現阻害により、唾液腺や歯肉に与える影響を検討し、主に、口腔内における機能を検討する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
miRNAの定量化に、新たにGeneQuantキットを用いる。 機能解析に必要な細胞培養用品一式は引き続き必要である。また、個々のmiRNAの機能解析に伴い、合成miRNAやmiRNA阻害分子と、導入試薬、検出試薬を計上する。 次年度への繰り越し額は、GeneQuantキットおよび、機能解析にかかるマイクロアレイ費用、および抗体作成に使用予定である。
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Research Products
(1 results)