2014 Fiscal Year Annual Research Report
歯周パラ・インフラメーションから脳をまもる髄膜―グリア防御システム破綻の解明
Project/Area Number |
24592802
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武 洲 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10420598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 博 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20155774)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周病菌LPS / 髄膜細胞 / ミクログリア / IL-1 b / 脳炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病の発症・進行に脳炎症が関与しており、全身炎症により増悪することが知られている。歯周病は、全身炎症を引き起こしアルツハイマー病のリスク因子のひとつとして注目されている。本研究は、歯周病を、低レベルの末梢炎症状態(パラ.インフメーション)と捉え、『脳をまもる髄膜ーグリア防御システム破綻を引き起こし、脳炎症ならびに学習・記憶障害をもたらす』と仮説を立て、その可能性ならびにそのメカニズムについて検討を行った。 その結果、Porphyromonas gingivivalis (P.g.)有来のリポ多糖類(LPS)の全身投与が、C57BL/6中年マウス(12ヶ月齢)においてアミロイドβ(Aβ1-42)ならびにクロモグラニンAの蓄積ならびに学習・記憶障害を引き起こすことを見出した。さらに、TLR2依存的に脳髄膜細胞を介してミクログリアを活性化し、炎症性因子(IL-1β、TNF-α)の産生分泌を誘導することがわかった。興味深いことに、Aβ1-42は老齢マウスの脳より単離したミクログリアにおいてのみIL-1βの産生分泌を誘導した。これは、若齢マウス(3ヶ月齢)の脳より単離したミクログリアではAβ1-42によるNF-κB活性化が十分ではなく、老化にともなって細胞内レットクス環境の変化によりNF-κB活性化されるためと考ええられる。 これらの結果から、歯周病菌とそれらの関連成分(LPSなど)によりTLR2依存的に脳髄膜細胞から分泌される炎症因子を介してミクログリアが活性化されるが明らかになった。すなわち、髄膜ーグリア防御システム破綻は、中年における学習・記憶障害を引き起こすと考えられる。さらに、老化に伴うミクログリアの反応性増大が、アルツハイマー病の脳においてAβを介した脳炎症を増幅する重要なファクターとなることが示唆される。
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Research Products
(9 results)