2014 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝制御における未知の分子基盤を解き明かす新規分子の機能解明
Project/Area Number |
24592804
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 美穂 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40291520)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | BMPシグナリング / Smad / PRIP / 細胞分化 / M-CSF / カルシニューリン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨代謝制御における新規分子PRIPの機能解析を通して未知の分子基盤を明らかにすることを目的とし、今年度は「PRIPのBMPシグナル制御分子への作用及び破骨細胞分化を制御するシグナル経路へのPRIPの関わり」について検討した。前年度より、骨芽細胞分化におけるBMP刺激時のPRIP遺伝子欠損 (KO) 細胞でのSmad1/5のリン酸化状態の持続は、脱リン酸化や関連分子の発現量等の変化によるものではない事が判明したので、Smad4、6とPRIPとの関連について検討した。その結果、抑制性Smad6分子の細胞膜付近でのメチル化にPRIPが関与する事が分かった。また、KO骨芽細胞前駆細胞においてBMP刺激によるSmad6の核外への移行が減少していた。メチル化酵素阻害剤を用いた実験等から、PRIP不在下ではSmad6がBMPに応答して核外へ移行し難いため、細胞膜付近のSmad6量が減少してBMPシグナリングが進行しやすくなっていると考えられた。破骨細胞については、細胞分化初期の情報伝達制御にPRIPが関与する事が示唆されたので、分化初期に重要なM-CSFシグナルについて検討した。野生型、KOマウス由来の骨髄細胞をM-CSFで刺激し分化初期の様子を観察したところKO細胞の培養皿への接着が低下していた。また、種々の遺伝子の発現解析から、RANKやNFATc1、aVb3インテグリンなど関連分子の発現が減少していた。これらの遺伝子発現制御に関わるNFATc1の遺伝子発現はM-CSFシグナルによって活性化されるため、シグナル下流の幾つかの経路について関連分子の発現量やリン酸化を検討したところ、Ca2+/カルモジュリン複合体依存性の脱リン酸化酵素カルシニューリンの発現が減少していた。その原因はまだ不明だが、PRIP欠損によりカルシニューリンの発現が減少することによってNFATc1活性化が低下しそのターゲット遺伝子群の発現が減少するため、接着等の基本的機能が損なわれ分化不全になるものと推察された。
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Research Products
(2 results)