2013 Fiscal Year Research-status Report
骨代謝における転写因子NFATc1を制御する新規メカニズムの解明
Project/Area Number |
24592821
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (90302893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
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Keywords | 破骨細胞 / 転写因子 / 骨吸収 |
Research Abstract |
破骨細胞分化を抑制するアルクチゲニンを用い、NFATc1が関わる細胞内シグナルについて解析し、以下の成果を得た。 1.前年度に見出したアルクチゲニンによるNFATc1のリン酸化修飾の減少とそのリン酸化部位の解析結果から、9種類のリン酸化修飾模倣型NFATc1を作成した。これらの変異型NFATc1をレトロウイルス遺伝子導入法を用いて破骨細胞前駆細胞に発現させ、破骨細胞分化を検討した。いずれの変異型NFATc1も、アルクチゲニンによる分化抑制を回復することができなかった。また、恒常活性型NFATc1も、アルクチゲニンによる抑制を解除することができなかった。 2.NFATc1を必須とする細胞系譜に対するアルクチゲニンの影響:リンパ細胞におけるアルクチゲニンの作用を解析するために、脾臓由来のT細胞前駆細胞を用いてNFATc1のリン酸化状態や標的遺伝子の発現を検討した。イオノマイシンおよびTPA刺激によるT細胞分化はアルクチゲニンによって阻害されなかった。また、NFATc1のリン酸化状態には差がなかった。さらに、活性型T細胞の指標であり、NFATc1の標的であるIL-2やGM-CSFなどの遺伝子発現は、アルクチゲニンによって抑制されなかった。これまでの結果から、破骨細胞分化を抑制する濃度のアルクチゲニンは、他のNFATc1発現細胞に対して悪影響を与えないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NFATc1のリン酸化修飾に対してアルクチゲニンが作用しているという仮説に基づきリン酸化を模倣した変異型NFATc1を作成したものの、アルクチゲニンによる抑制効果を解除するには至らなかった。NFATc1は高度にリン酸化されていることから、これらの模倣変異を組み合わせることが必要である。また、T細胞の分化におけるアルクチゲニンの影響は遺伝子発現レベルでは認められないことが判った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、NFATc1上のアルクチゲニン標的部位候補に変異を導入して解析してきた。ひとつずつの変異体の解析では、分化抑制の解除に至らないことから、いくつかの変異の組合せを今後行なう予定である。また、骨芽細胞や免疫細胞など、NFATc1を必要とする細胞において、アルクチゲニンは分化抑制などの影響を与えなかった。今後は破骨細胞と起源を同じくする樹状細胞における分化およびその細胞系譜の振り分けに対する作用も明らかにしたい。また、NFATc1の活性制御にはカルシウムシグナルが関与している。カルシウムオシレーションに対するアルクチゲニンの影響を破骨細胞で解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金は物品の値引き等により発生した。 申請した助成金とあわせて、次年度の実験用試薬などの消耗品の購入に使用する。
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