2012 Fiscal Year Research-status Report
免疫抑制性シグナルの可視化技術による記憶T細胞形成のメカニズムの解析
Project/Area Number |
24592828
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩井 佳子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90362467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90255654)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫学的記憶 / T細胞 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
本研究では、記憶T細胞形成に重要な役割を担う抑制性シグナルの可視化技術を開発し、生体内における記憶T細胞の局在を明らかにし記憶形成のメカニズムの解明を目指している。当初の計画では、記憶T細胞で高発現する抑制性転写因子BATFの発現を可視化するためBATFのプロモーター領域にGFP遺伝子を結合したレポーターミニ遺伝子を構築して蛍光蛋白質の発現によりBATFの発現を可視化しモニターする計画であったが、1.測定に用いる蛍光顕微鏡の検出感度および解像度が低い、2.BATFプロモーター自体の発現誘導力が低い、などの問題があることが判明し計画の見直しを行うこととなった。解決策として、1.発現をモニターする蛍光蛋白質(GFP)をより蛍光強度の強い他の蛍光蛋白質に置き換える、2.発現を検出するシステムを変更する(リポーターアッセイなどを利用する)、等について現在検討中である。これと並行してBATFの発現を直接的にmRNAレベルや蛋白質レベルで検出する方法を用いて、記憶T細胞や樹状細胞においてBATFの発現を誘導する炎症刺激のスクリーニングを進めている。これまでの解析によりBATFの発現を強く誘導する炎症刺激物質が数種類見つかっている。これらの物質によって共通に活性化されるシグナル経路を中心にinhibitorやsiRNAを用いてBATF発現を制御するシグナル経路の同定を進める予定である。一方、BATF-GFP knock-inマウスを用いて生体内における記憶T細胞の局在を調べる実験に関しては、研究機関の移動(平成25年4月)に伴い、マウスの飼育を一時中断してクリーニング後搬入することとなり、マウスの繁殖後に実験を再開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年4月1日付で産業医科大学医学部分子生物学教授として赴任することになり、研究室移転のため研究を一時中断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究機関の移動により使用する研究設備や研究機器が変わり、検出感度や実験条件が大きく変化することが予想されるので、1.当初の計画に基づいたリポーターミニ遺伝子によってBATFの発現を可視化・モニターすることが可能か再度検討する。2.より高い蛍光を発する蛍光蛋白質に置換したリポーター遺伝子を構築し、BATF発現を検出できるか検討を行う。3.より感度の高いルシフェラーゼ反応を利用した検出システムを確立し、real-timeにBATFの発現をモニターできるように条件設定を行う。1.2.3.による検出システムを比較検討し、BATFの発現を最も正確かつ高感度に検出できるシステムを選択した上で、レポーター遺伝子を導入して安定発現細胞株(T細胞および樹状細胞)を樹立する。また当初の計画では平成25年度に遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験を予定していたが、研究機関の移動により動物の移動および繁殖に時間を要するため、in vivo実験は平成26年度に回し、平成25年度は上述したin vitro実験および既にサンプリングを行ったBATF-GFP knock-inマウスの組織学的解析に重点を置いて解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
あらたなDANコンストラクトの作成と細胞株樹立のため、遺伝子工学関連試薬、細胞培養関連試薬、プラスチック製品などの消耗品を購入する。また研究機関の移動に伴い、遺伝子改変マウスの輸送が必要となったため、マウスの購入や飼育費用に加えて動物実験施設搬入に必要な胚操作や輸送費用の支出も予定している。さらに研究成果を発表するため国内学会参加の旅費の支出も計画している。
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