2012 Fiscal Year Research-status Report
近赤外線、MRI、超音波を用いたシェーグレン症候群の非侵襲的画像診断法の確立
Project/Area Number |
24592835
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉野 真弓(清水真弓) 九州大学, 大学病院, 講師 (50253464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河津 俊幸 九州大学, 大学病院, 助教 (20294960)
岡村 和俊 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20346802)
大山 順子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70294957)
森山 雅文 九州大学, 大学病院, 助教 (20452774)
阿部 光一郎 九州大学, 大学病院, 講師 (00380387)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 近赤外線 / MR-sialography / 超音波 / 唾液腺シンチグラフィー / シェーグレン症候群 / 非侵襲 |
Research Abstract |
シェーグレン症候群の厚生労働省の診断基準のうち、唾液腺の画像検査としては唾液腺造影法と唾液腺シンチグラフィーが採択されている。しかしながら、唾液腺造影は感度や特異度は高いが浸襲的であり、唾液腺シンチグラフィーは感度・特異度がやや低い上に、簡便とも言い難い。また両法とも被曝を伴うという欠点がある。近年MR-sialographyや超音波診断法といった非浸襲的なシェーグレン症候群の診断法が研究されている。これらは正診率は唾液腺シンチグラフィーより上であるが、初期変化の検出に関しては唾液腺造影に及ばず、未だ唾液腺造影に置き換わるに至っていない。 そこで、近赤外線組織酸素モニタ併用超音波診断、MRI診断が中心の、シェーグレン症候群の非侵襲的な画像診断法の確立を目的とした研究を立案した。近赤外線組織酸素モニタにより組織損傷程度を数値化し、客観性が脆弱な超音波検査を補完する。またMRIでは従来のMR-sialographyにMSDE法を応用し、血流信号の抑制により末梢導管拡張の描出能向上を図る。シェーグレン症候群の同一患者の治療経過を、これらの非侵襲的な画像診断法で縦断的に画像化することにより、臨床経過と対比し、診断精度の向上を試みる予定である。 平成24年度は2社の近赤外線組織酸素モニタをテストし、絶対値で組織酸素濃度を評価することができるOmegawave社の装置を購入し、正常者での基礎データ取得を行った。 MR-sialographyに関しては当施設では経験がなかったため、他施設のプロトコールを参考に改良を加え、通常のT1強調画像、T2強調画像、MR-sialographyの撮像を行った。 また非侵襲的な上記の検査と比較する現行の検査、唾液腺造影、唾液腺シンチグラフィーのうち、明確な基準のない唾液腺シンチグラフィーに関して、正常値の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近赤外線組織酸素モニタの導入:導入に際し2社の比較を行ったため、購入が遅れたことと、購入した装置付属の分析システム購入の費用が不足していたため、自作の分析装置を作成したことで、正常者のデータが取得できるまでにかなりの時間を要した。現在、データの取得は可能となった。酸刺激に対する反応および刺激後の回復時間が耳下腺と顎下腺で異なる傾向があるようであるが、個人差が大きく、正常者の傾向を見出すまでには至っていない。 MR-sialography:当施設ではMR-sialographyの経験がなかったため、文献を元に試行錯誤したが、当初は末梢の描出が不良で、診断に足りる画像が得られなかった。他施設のプロトコールを参考に改良を加え、現在、診断に寄与する程度のT1強調画像、T2強調画像、MR-sialographyの撮像が行えるようになった。しかしながら、MSDE法の応用にまでは至っていない。 唾液腺シンチグラフィー:明確な診断基準のない唾液腺シンチグラフィーに関しては、甲状腺腫瘍のRI治療前の患者群(唾液腺は正常)を正常群として、シェーグレン症候群を疑ったが否定された群(Non-SS群)との比較を行った。耳下腺では正常群とNon-SS群に最大カウント数や排泄率において差異が認められたが、顎下腺には差異は認められず、排泄試験に関して反応を示さない症例を除外した顎下腺のNon-SS群は正常群を代用できるのではないかと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
近赤外線組織酸素モニタでのデータ取得と超音波像の対比:正常者のデータが取得可能となったため、下記と併せて当院倫理委員会への研究申請を行い、承認された後は、当科スタッフ約10名をボランティア被検者として安静時および酸刺激後の組織酸素飽和度ある程度の正常者の傾向を見出す。その後、各人の超音波検査を行い、正常者における安静時および酸刺激後の組織酸素飽和度と超音波像(B-mode, Doppler-mode )での像および血流量の変化の対比を行う。さらに患者群に応用し、シェーグレン症候群、シェーグレン症候群以外の口腔乾燥症、IgG4関連涙腺唾液腺炎(いわゆるミクリッツ病)での差異について検討する。 MR-sialography:通常のMR-sialographyのプロトコールを現在の1.5Tの装置の他、さらに3Tの装置に応用できるよう、改良を加える。また両装置において、MSDE法を試行する。その後、上記と併せて当院倫理委員会への研究申請を行う。承認後に上記ボランティア被検者にT1強調画像、T2強調画像、MR-sialography、MSDE法による撮像を行う。さらに患者群に応用する。 唾液腺シンチグラフィー:通常の患者群の唾液腺シンチグラフィーに関しては、前年度に分析した正常群データ(甲状腺腫瘍のRI治療前の患者群)、Non-SS群(シェーグレン症候群を疑ったが否定された群)データを基準とした分析をprospectiveに行い、排泄試験に関して反応を示さない症例を除外した顎下腺のNon-SS群を基準として差し支えないことを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の繰越分で国際顎顔面放射線学会(ベルゲン、ノルウェー)へ参加し、情報収集を行う。 次年度分の研究費は、大きな物品購入の予定はなく、大半はボランティア被検者への謝金に当てる予定である。 成果中間発表を国内学会で行う際の旅費にも使用予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Validation of different sets of criteria for the diagnosis of Sjoegren's syndrome in Japanese patients.2013
Author(s)
Tsuboi H, Hagiwara S, Asashima H, Umehara H, Kawakami A, Nakamura H, Sano H, Tsubota K, Ogawa Y, Takamura E, Saito I, Inoue H, Nakamura S, Moriyama M, et al.
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Journal Title
Mod Rheumatol.
Volume: 23(2)
Pages: 219-25
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Clinical characteristics of Mikulicz’s disease as an IgG4-related disease.2012
Author(s)
Moriyama M, Tanaka A, Maehara T, Ohyama Y, Shimizu M, Nakashima H Hayashida J-N, Shinozaki S, Kubo Y, Furukawa S, Kikuta T, Nakamura S.
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Journal Title
Clin Oral Invest
Volume: in print
Pages: in print
DOI
Peer Reviewed
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