2014 Fiscal Year Annual Research Report
口腔がん発症における脱アセチル化酵素と転写因子の果たす役割
Project/Area Number |
24592839
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
小林 正伸 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (80241321)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低酸素環境 / 転写因子 / PIAS3 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞の低酸素応答反応の中心的制御因子である転写因子HIF-1(hypoxia-inducible factor1)の活性制御機構に関する解析を行った。PIAS3(protein inhibitor of activated STAT3)は、RING fingerドメインを有する核内タンパク質で、SUMO化修飾のE3リガーゼとして機能することや脱アセチル化酵素HDAC1をリクルートすることで、様々な転写因子の活性制御に関与することが知られている。しかし、HIF-1を介した低酸素誘導遺伝子の発現に対するPIAS3の作用は不明であった。本研究では、HIF-1の転写活性制御に対するPIAS3の効果を検討した。U2OS細胞および293細胞において、HIF-1に応答するレポーター遺伝子HRE-Lucを用いたルシフェラーゼアッセイを行ったところ、PIAS3の強制発現は低酸素下におけるHIF-1の転写活性を増強させた。また、qRT-PCR解析から、PIAS3のノックダウンは、低酸素下におけるHIF-1標的遺伝子(VEGF、GLUT1、アドレノメジュリンなど)の発現を低下させることが判明した。一方、免疫沈降実験から、PIAS3はHIF-1αと物理的に結合し、HIF-1αのSUMO化修飾を促進するという結果が得られ、さらに、PIAS3の変異体を用いた解析から、HIF-1依存的な転写活性の増強には、PIAS3のSUMO E3リガーゼ活性が必要であることが分った。以上の結果から、PIAS3は、HIF-1αのSUMO化修飾を促進することでその転写活性を増強させ、HIF-1を介した遺伝子発現に促進的に作用すると考えられる。
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