2014 Fiscal Year Annual Research Report
NK細胞活性化におけるIL-17の役割ー炎症の発症機序解明のための解析ー
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24592853
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
井上 博 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (10330143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 征司 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70351476)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NK細胞 / IL-17 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症誘導性サイトカインのIL-17は獲得免疫だけでなく自然免疫においても種々の細胞に作用して、炎症性サイトカインやケモカイン、細胞接着分子など種々の因子により炎症を起こすことがわかってきた。NK細胞は、自然免疫に関係しており生体内のウイルス感染細胞などを認識し傷害する。IL-17のNK細胞に対する影響を検討することによって炎症の発症機序解明を進めるために研究を行っている。 平成24年度と平成25年度には以下の成果を得た。1.IL-17単独刺激ではNK92細胞の細胞増殖能に対して影響を及ぼさないこと。2. NK92細胞は無刺激でも標的細胞であるK562と共培養することにより,細胞殺傷能を示した。しかし,その細胞殺傷能はIL-17刺激により抑制されることを確認した。 平成26年度は以下の研究を行った。IL-17刺激による細胞内シグナル伝達物質の解明を検討した。NK92細胞を各種濃度のIL-17にて刺激した後,細胞を可溶化しウエスタンブロット法を用いてリン酸化p38の検出を行った。NK92細胞では無刺激でもp38のリン酸化が確認されたが,IL-17刺激が加わることによりこのリン酸化が抑制された。また,細胞の浸潤に関与する間質コラゲナーゼ (MMP-1)の産生や内因性のMMP阻害因子の1つであるTIMP1の産生に対するIL-17の影響を検討した。NK92細胞にIL-17刺激を加え,24時間培養して上清中に放出されたMMP-1とTIMP1をウエスタンブロット法により検出した。IL-17単独刺激においてNK92細胞からのMMP-1とTIMP1の放出に著明な変化は確認されなかった。 以上の結果より,IL-17によるNK92細胞の細胞殺傷能抑制作用は細胞増殖抑制によるものではなく細胞傷害活性の抑制による可能性が示唆された。また細胞傷害活性のシグナルにp38が関与している可能性が示唆された。
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