2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592860
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 繁仁 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (10291262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属アレルギー / 金属イオン / ニッケル |
Research Abstract |
歯は硬組織が主成分で他の臓器に比べ自己修復能力が極めて低いため、人工修復材料により保存修復される。歯科金属による保存修復および補綴治療は一種の人工臓器治療といっても過言ではなく、これまで歯を機能的に回復し患者のQOLを満足させてきた。歯科治療はほぼ完成された人工臓器治療であるが、ごく一部の患者においては金属アレルギーの誘発など少なからず問題を抱えている。このように、歯科金属による治療は、近年の先端医療による人工臓器治療がかかえる問題点を端的に表しており、生体材料による免疫疾患は重大な問題となっている。さらに、ピアスやネックレスなどの装飾品をつける人も増えたことから、家庭用品等に係る皮膚障害において、装飾品等によるアレルギー性接触皮膚炎が半数を占め、金属アレルギーは増加の一途にある(平成19年度の厚生労働省の報告による。)。これまでの研究で、金属アレルギーは金属イオンが生体内タンパクと結合することにより抗原となっておこるIV型アレルギーとして位置づけられているものの、その分子機構はいまだわかっていない。 したがって本研究は、アレルギーの原因となる金属イオンの生体内の動態を明らかにすることを目的とし、金属アレルギー発症の分子理論の確立を目指す。 本年度は、金属イオン、特にニッケルイオンの可視化に取り組み、ほぼ可視化が可能な段階にきている。しかし、まだ改良の余地があり、次年度以降に精度を上げニッケルイオンの可視化を実現させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、金属イオン、特にニッケルイオンの可視化に取り組み、ほぼ可視化が可能な段階にきている。しかし、イオンを可視化するためには、イオンと蛍光物質と結合させること、および細胞内にイオンより大型の分子量をもつ蛍光物質を取り込ませることに困難を極め、計画通り進んでいるとは言えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
金属イオンの可視化に困難を極めたが、細胞内に大型の分子量をもつ蛍光物質を取り込ませる方法の開発に成功したことにより、次年度は、ニッケルイオンの可視化が実現可能と考えられる。 今後、マウス樹状細胞をマウス骨髄から分離、サイトカインを加え培養する。in vitroにて、ニッケルイオンを添加し、Newport Greenを用いて、ニッケルイオンを可視化し、コンフォーカルレーザー顕微鏡ならびにフローサイトメーターにてニッケルイオンの局在を経時的に観察し、解析する。さらに、サイトカインまたはLPSなどのToll Like Receptorリガンドを加えて樹状細胞を活性化させ、ニッケルイオンの挙動を詳細に観察する。 in vivoにおける金属イオンの溶出を検討する。マウス背部皮下に金属ワイヤーを埋め込み(直径0.8mm,長さ5mm)、経時的にワイヤー周囲の組織を採取して、プラズマ発光法による金属イオン定量解析技術(ICP-AES法)による解析で、時間ごとの金属イオン溶出量を測定する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた動物実験を次年度に延期することによって生じたものであり、次年度以降に実施する動物実験に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(1 results)