2012 Fiscal Year Research-status Report
Hidden Caries の非侵襲的トモグラフィーを用いた3D評価
Project/Area Number |
24592861
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
島田 康史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60282761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
サダル アリレザ 東京医科歯科大学, 歯と骨のGCOE拠点, GCOE拠点形成特任教員 (20567755)
田上 順次 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50171567)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光干渉断層計 / Hidden Caries / 感度 / 特異度 / ROC曲線 |
Research Abstract |
光干渉断層計(OCT)は、非侵襲的に組織の断層画像を得ることができる。ヒト抜去乳臼歯の咬合面う蝕について、走査型OCT(SS-OCT)を用いて診断を行い、視診の結果と比較した。20本の乳臼歯の咬合面から、健全部を含め32か所の裂溝を抽出し観察部位とし、SS-OCTによる断層画像を撮影した。5人の歯科医師により、観察部位の視診を行い、う蝕の進行度に応じて診断を行った。次に、SS-OCTから得られた同部位の断層画像を用い、診断を行った。その後、歯を観察部位において半切し、走査型レーザー顕微鏡(CLSM)を用いて実際のう蝕の進行状態を記録した。 CLSMの結果を基準とし、視診とSS-OCTから得られた結果から、う蝕の検出と象牙質う蝕の診断について、感度、特異度を計算し、ROC曲線のAz値を求め、有意水準0.05で統計処理を行った。 結果、SS-OCTによるう蝕の検出と象牙質の診断は、視診よりも有意に高い感度が得られ、Az値も同様に高い結果が得られた。また、SS-OCTの特異度は、う蝕の検出と象牙質の診断において視診の結果と差がみられず、ともに高い値が得られた。SS-OCTを用いた診断では、観察部位に含まれていた6箇所のHidden Cariesの診断が可能であったのに対し、視診では正確に診断することができなかった。 実際の口腔内において乳歯咬合面のう蝕診断にSS-OCTを用いたところ、視診ならびにX線写真の結果ではエナメル質初期う蝕と思われた症例について、象牙質まで及んだHidden Cariesの様相を画像表示することができ、in vivoの条件下においてもう蝕の診断に有効であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳臼歯を用いたin vitroの実験系の結果から、光干渉断層計による咬合面齲蝕の診断とHidden cariesの検出について精度の高い結果が得られ、これを学会発表することができた。また、実際の口腔内においても、視診とX線写真では検出できなかったHedden Cariesについて、SS-OCTを用いると病巣の側方の拡がりを断層画像表示することが可能であり、今後の研究内容について発展性が期待できると思われた。 一方、レジン浸透材を用いた裂溝部う蝕の非侵襲的療法については、その有用性を含めて、さらなる検討が必要があり、今後推進させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 24 年度から行っているin vitroの基礎的研究の継続に加え、SS-OCT を実際の臨床に応用し、データを集積、分析する。 ①Hidden Cariesの3D画像評価: 抜去歯または実際の臨床症例に対して、咬合面Hidden cariesの立体画像構築を行い、う蝕病変部の拡がりを評価する。X線写真や実際の臨床所見と比較し、SS-OCTによる診断結果を総合的に考察する。 ②Hidden Cariesの発症機序に関する研究:抜去歯にう蝕病原性細菌を作用させ、in vitro条件下でHidden Cariesを作成する。病巣の進行状況をSS-OCTを用いてモニタリングし、発症機序を調査する。 ③咬合面エナメル質う蝕の定量評価と再石灰化:ごく初期のエナメル質脱灰病変に、フッ化物応用などの再石灰化治療を試み、SS-OCTを用いて病巣部の変化を継時的に記録する。Hidden Caries の再石灰化治療の可能性を、超微小硬さ試験(ナノインデンテーション)などを取り入れて調査する。 ③Hidden Cariesのレジン浸透療法:咬合面のHidden caries に低粘性レジンを浸透させ、その到達度を SS-OCT を用いて評価する。CLSMやSEMによる観察を併用し、Hidden Cariesの非侵襲的な治療の可能性と有用性につき評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、Hidden Cariesの脱灰と再石灰化の評価に必要なTMR法の試料作成ならびに試料作製用の薬品の購入を予定しており、それぞれ計上している。 また、国内学会において研究成果の発表を予定しており、旅費を計上している。
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Research Products
(3 results)