2013 Fiscal Year Research-status Report
象牙質知覚過敏症における知覚メカニズムの解明:浸透圧による象牙芽細胞の応答
Project/Area Number |
24592876
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
徳田 雅行 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20253891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森元 陽子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30437967)
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Keywords | 象牙芽細胞 / 高浸透圧 / キシリトール / TRPV1 / AQP2 |
Research Abstract |
砂糖の主成分であるスクロースによる高浸透圧刺激下での象牙芽細胞の応答を調べていくなかで、キシリトールによる高浸透圧刺激下では、他の糖に比較し、象牙芽細胞が浸透圧刺激に長時間耐えられることが判明した。そこで、我々は象牙芽細胞の浸透圧刺激に対する応答を調べるモデルとして、今回キシリトールを用い、糖による浸透圧刺激が象牙芽細胞に及ぼす影響について検討を行った。 マウス歯胚から分離培養した odontoblast-lineage cell line; OLC ( Arany S. et. al:Biochem. Biophys. Res.Commun. 342;718-724,2006) を、10% FBS 添加 D-MEM で培養した。実験には10 ~ 15 代までの細胞を用いた。通常培地 (浸透圧 (330 mOsm)) を 1M スクロース、キシリトールにて、500~1000 mOsmに調整したものを刺激用培地とした。1)高浸透圧刺激後3 時間において、スクロースに比べて、キシリトールによる高浸透圧刺激のものは、生存率の低下が有意に低かった。スクロース、キシリトールによる高浸透圧刺激では、IL-6 の上昇は認めなかった。2)OLC において、AQP2,TRPV1,TRPV3,TRPV4 の発現を認めた。またTRPV1 の発現は高浸透圧刺激で有意に上昇した。3)HgCl2, RuR を同時に作用させると、有意に生存率の低下をみとめた。これらの結果より、OLC の高浸透圧に対する細胞応答は、糖の種類により部分的に異なる挙動をしめすことが示された。また、キシリトールによる高浸透圧に対する応答には、AQP,TRPV1 が関与していることが示唆された。以上より、OLC は、糖による高浸透圧刺激を感受し、AQP,TRPチャネルなどにより、外界の環境変化に適応していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回は、キシリトールを用いた高浸透圧条件下の象牙芽細胞の動向を調べた。前回のスクロースの結果と相違がみられたため、そのメカニズムについて探ったところ、TRPV1やAQP2といった細胞膜受容体が関係していることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これらスクロースやキシリトールによる細胞応答の結果から、浸透圧と歯痛の関係を細胞内転写因子の動態から解明したい。
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Research Products
(1 results)