2012 Fiscal Year Research-status Report
象牙質再石灰化誘導能を有するバイオアクティブ材料の開発
Project/Area Number |
24592878
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
伊藤 修一 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (50382495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 正則 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (00337164)
飯嶋 雅弘 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20305915)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 象牙質石灰化 |
Research Abstract |
1.新規接着性モノマーの合成及び試作ボンディング材および修復材料の作製、攪拌装置,冷却管,温度計および滴下ロートを取り付けた反応装置に4-METを入れ,さらにエタノールを添加し冷却しながら攪拌した.この溶液に2モルの4-METに対して1モルの水酸化カルシウム水溶液を滴下し,得られる試料を濃縮した後,得られた白色の固体を室温で真空乾燥した.これを遊星ボールミルでさらに粉砕し,#280篩で分級した.この後,生成物のNMR分析および元素分析を行い同定した.その後、このモノマーを配合した、試作ボンディングシステムを作製した。 2. ボンディング材および修復材の重合率の測定および粘弾性の評価、実験1で作製したボンディング材および修復材について,接着性モノマーの至摘配合量を決定する指標の一つとして,重合率の測定および粘弾性の評価を行った。重合率に関しては有意差が認められなかった。粘弾性の測定では,全領域でモノマー群がコントロール群と比較して高い粘弾性を示した. モノマー群は低剪断領域で粘度変化の少ない領域が確認された.また,モノマー群の繰り返し測定を行った場合,1回目に比べて2回目は粘弾性が低下した.このことは,CMETが分子間で弱い網目構造を形成しており,低変位では網目構造は壊れないが,高変位では壊れたのではないかと推察された.今後はそれらの特性と接着の長期安定性の関係を調べたいと考えている. 3. ボンディング材および修復材の象牙質石灰化に対する影響、モノマー群がコントロール群よりも多量の石灰化物を誘導し,石灰化誘導時間も短縮したことから,CMETからの溶出カルシウムイオンが石灰化に影響を与えることが示された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的の大きな3つの柱である、新規接着性モノマーの合成及び試作ボンディング材および修復材料の作製、ボンディング材および修復材の重合率の測定および粘弾性の評価、ボンディング材および修復材の象牙質石灰化に対する影響について概ね、実験計画通り達成することができた。また、これらの結果は、複数の国内外での学会発表を行い、一部は、Ito S, Iijima M, Motai F, Mizoguchi I, Saito T. Effects of calcium salts of acidic monomers on mineral induction of phosphoprotein immobilized to agarose beads. J Biomed Mater Res A 100(10); 2760-2765. 2012.にて発表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の結果より、本研究における当初の目的である、象牙質再石灰化誘導能を有するバイオアクティブ材料の開発という足がかりを得ることができた。この結果を踏まえて、研究を推進していきたいと考えている。実際には、象牙質接着界面の超微小硬さの測定をを24h,3ヶ月,6ヶ月,12ヶ月後の試料を超微小押し込み試験機用いて,象牙質・樹脂含浸層・アドヒーシブレジンの移行部の硬さ,相対ヤング率の測定を行う事により評価を行う。 また、微小引張り試験の測定を行うことにより、象牙質との接着性の評価および長期耐久性についても評価を行う。 象牙質接着界面のTEM観察を行う事ににより、SEM等では観察できない微細な接着界面の評価が可能となる。そこで、長期耐久性の評価だけではなく、石灰化能についても併せて評価を行う。これらの研究を行うことにより、当初の目的を推進していきたいと考えている。また、平成24年度で行う事ができなかった、接着性モノマーを合成する際に、末端のカルシウムに変わり,Mg, Zn, Sr, Na, K etc.などとの合成を行い,それぞれのモノマーの作用を明らかにしたいと考えている。象牙質のコラーゲンの加水分解への影響を評価する事により長期耐久性の評価も行っていきたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
象牙質接着界面の超微小硬さの測定を行うために、エポキシ樹脂,研磨用ペースト,アイソメッドブレードなどの消耗品が必要である.また、長期耐久性の評価を行うために、プラスチック器具,ガラス器具,セルロース膜などの消耗品が必要である. また、微小引張り試験の測定および長期耐久性の評価にガラス器具、プラスチック器具、アイソメッドブレードなどの消耗品が必要である. TEM観察に,ダイヤモンドナイフ,エポキシ樹脂,研磨用ペースト,アイソメッドブレードなどの消耗品が必要である. また,本研究の遂行には,国内のみならず,広く海外においても綿密な情報交換や最新データ収集を行う事により飛躍的な研究成果をあげることが可能となる.このため,研究協力や情報収集を目的とした海外渡航費や学会参加出張費が必要である.
|