2012 Fiscal Year Research-status Report
根面齲蝕の活動性把握への光干渉断層画像診断法の応用
Project/Area Number |
24592883
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
黒川 弘康 日本大学, 歯学部, 助教 (10291709)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | OCT / 象牙質観察 |
Research Abstract |
OCTを用いて象牙質の状態変化を観察するための基礎的研究として,象牙細管の走行あるいは封鎖状態がOCTイメージ像に及ぼす影響について検討した。 ウシ下顎前歯を象牙質面が得られるようにトリミングした後,超音波洗浄を行ない,横断面では象牙細管の開口が,縦断面では象牙細管の走向が確認されたものをコントロール試片とした。また,コントロール試片に対してナノシールを適用し,レーザ顕微鏡像でナノシールの塗布による析出物によって象牙細管が封鎖された像が観察されたものを象牙細管封鎖試片とした。OCTによるイメージ像の観察は,各試片の横断面および縦断面に対してOCT照射光を垂直に入射させる2条件を設定した。また,OCTイメージ像の変化をより客観的に把握するために,歯質内部の反射光分布の信号強度グラフを得ることで信号強度を解析し,ピーク値を算出するとともに1/e2幅を求めた。 その結果,コントロール試片に対して象牙細管と水平に照射光を入射した場合,象牙質表層に線状の高輝度のシグナルが観察されたのに対し,照射光を象牙細管に垂直に入射した場合,象牙質表面から深部に向かって,帯状にシグナルの拡大が観察された。また,同一試片のいずれの測定面においても,象牙質表層に信号強度ピークが検出されるとともに,歯質内部の変化の指標となる1/e2幅は,コントロール試片の縦断面に対して垂直に入射した条件で,横断面と比較して有意に大きい値を示し, OCTイメージ像で観察された象牙質内部の変化と一致した。一方,ナノシール試片のOCTイメージ像からは,コントロール試片と比較して象牙質表面でのシグナルが強くなるとともに,縦断面ではシグナルの深さ方向への広がりが少なくなる傾向を示した。 以上のように,OCTを用いて象牙質を観察した場合,象牙細管の走行,封鎖性および照射光線の入射角度が断層像に影響を及ぼすことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を発展,遂行するために必要なOCTに関しては,開発者からの光学分野における知識あるいは技術的協力も得られており,測定に対する手技も確立されていることから,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の実験によって得られたOCTによる象牙質観察のための基礎的データをもとに,齲蝕あるいは齲蝕影響象牙質など,より微細な象牙質の構造変化の違いがOCTイメージ像に及ぼす影響について,ヒト抜去歯に作製した象牙質齲蝕モデルを用いて検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
根面齲蝕の活動性の指標となる歯根部象牙質における脱灰の進行状態を観察するため,歯質脱灰用試薬を購入するとともに,脱灰程度を観察するために必要なOCT観察関連消耗品およびレーザ顕微鏡観察用消耗品の購入に対して研究費を使用する。また,得られた研究成果を海外の学術会議および論文にて発表するのにかかる費用に使用する。
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Research Products
(8 results)