2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592887
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
花岡 孝治 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (40198776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川股 亮太 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (40329199)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンポジットレジン / μCT / フロアブルレジン / 重合収縮 / 動的粘弾性 / アルキメデス法 / フロー |
Research Abstract |
レジンのフロー挙動を詳細に研究するため,フロアブル2種(MIF:62.1wt%,MLV:76.9wt%:示差熱天秤にて測定した無機質フィラー量),ユニバーサル1種(CM:57.4 wt%)を用い,重合収縮量,動的粘弾性の測定を行うと共に,μCTを用い収縮挙動と窩壁適合性の影響を評価した結果,以下の所見を得た。 IS規格K71121(アルキメデス法)に準じて,生じた浮力により重合後のレジンの密度を求め,重合前後の体積変化から重合収縮量を算出した結果,フロアブル(MIF:9.29vol%,MLV:8.69vol%)はユニバーサル(6.81vol%)と比較して大きな値を示した。高密度充填タイプであるMLVは最も小さな重合収縮量を示した。 新規購入した粘度計TVE-33H(3°×R7.7コーンロータ)を用い,階段状ずり速度上昇および低下の条件で粘性を評価した結果,フロアブルは非ニュートン性の流動曲線を示し,ずり変形が与えられた場合レジンの粘性が減少し流動性が増すチクソトロピー性を示す材料であることが示された。特に,MIFでは粘度曲線のヒステリシスループの面積が大きく,高ずり状態で良好な流動性を示し,かつ,ずり開放状態では附形性を有する材料であることが示された。一方,フィラー充填率が高いMLVはずり速度の違いに関わらず,高い流動性を示した。 シラン処理した1級ガラス窩洞に両レジンを一塊として充填し,光重合前後の形態変化を差分抽出することにより,解放面,窩壁での収縮量を評価した結果,ストリップスの使用に関わらず, MIFはCMに比較し,有意に大きな解放面でのフローを示したが,窩壁での間隙形成量には差は認められなかった。 以上より,MIFは有意に大きなフローを示すものの,CMと同程度の界面間隙が生じたことから,フロアブルの大きなフローでも重合収縮を十分に補償できないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規購入した粘度計TVE-33H(3°×R7.7コーンロータ)を用いた動的粘弾性の測定は順調にその機能、役割を十分に果たしている。また、現有設備であるμCT(MCT-CB100MF :HITACHIメディコ社製)は設備が古くトラブルもあったが、現在は良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
重合時フロー(収縮)挙動の評価に関して、今回はシランカップリング処理を施したガラス窩洞を用いて評価したが、今後、当初の実験計画に沿ってコンポジットブロック(GN-1:GC)に対し,GM1000(松浦機械製作所)で加工した内径4mm,深さ2.4mmの規格円筒窩洞に対し,3種接着条件:①全面接着:内面を接着性シランカップリング剤 (Clearfil Ceramic Primer:Kuraray Medicalにて処理,②全面非接着:内面をF系界面活性剤(10F2S-3I :F(CF2)10-(CH2)2-Si(NCO)3 東京理科大開発:現有処理剤)にて処理,③側壁のみの接着(側壁に接着性シランカップリング剤塗布,窩底部に非接着性シランカップリング剤塗布))で接着させ,フロアブルレジンを填入し,重合前後にμCTにて撮影し,重合前後の画像間の形態変化を差分抽出することにより,自由表面での変位量(流れ込み量)および窩洞全域で界面間隙を定量的に体積計測する予定である。なお,撮影条件は予備実験の結果より,管電圧80Kv, 管電流100μA, 拡大率10倍, ボクセルサイズ13μmを基準として行う。重合にはJETライト3000を使用し,開放面から光照射を行う。各レジンの体積計測ソフト(現有ソフト)には,TRI 3D-BON (ラトックシステムエンジニアリング)を使用する。また、窩洞内各部での重合時フロー分析を行うため,トレースマーカーとして,練和することによりレジン内に気泡を混入させ,重合時それぞれの流動性(変位)特性を評価する。気泡には空気と不活性ガスであるチッ素ガスを使用し,重合前後にμCTを撮影し,重合前後の気泡の位置を画像上で指定し,その移動方向と移動量を計測および可視化することでレジン収縮ベクトル(量と方向)を求めることを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
気泡の挙動解析にはIMAGE PRO PLUS7(日本ローバ)(レンタル予定)を使用する。 一方,レジン内に混入した気泡の膨収縮の発現をGraph-R Plus(Graph-R Project)(購入予定)で可視化し評価する。
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