2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592887
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
花岡 孝治 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40198776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川股 亮太 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40329199)
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Keywords | コンポジットレジン / μCT / フロアブルレジン / 重合収縮 / 動的粘弾性 / フロー / ベクトル |
Research Abstract |
重合時フロー挙動の評価するため、コンポジットブロック(GN-1:GC)に対し,GM1000(松浦機械製作所)で加工した内径4mm,深さ2.4mmの規格円筒窩洞に対し,3種接着条件:①全面接着:内面を接着性シランカップリング剤(Clearfil Ceramic Primer)にて処理,②全面非接着:内面をF系界面活性剤(10F2S-3I :F(CF2)10-(CH2)2-Si(NCO)3 )にて処理,③側壁のみの接着(側壁に接着性カップリング剤塗布,窩底部に10F2S-3I塗付)で接着させ,気泡を混入したフロアブルレジンを填入し,重合前後にμCT(MCT-CB100MF)を撮影し、両者の画像の形態変化を差分抽出することにより,自由表面での流れ込み量および窩洞全域で界面間隙を定量的に計測するとともに、気泡をトレースマーカーとして重合時の移動方向と移動量を可視化することでレジンのフローを求めた。なお,撮影条件は,管電圧80Kv, 管電流100μA, 拡大率10倍, ボクセルサイズ13μmを基準として行った。各レジンの体積計測にはTRI 3D-BON を使用した。 その結果、条件①では,開放面で下方向への収縮と,窩洞側壁上部に限局して間隙が認められ,気泡は主に下方向(接着獲得面)に向うことが観察された。条件②では,レジン硬化体は窩壁から剥離して窩洞内への滑落が考えられ,収縮方向の明瞭な観察はできなかった。条件③では、窩底部に上方に収縮が生じたと考えられる間隙が認められ,開放面の収縮は僅かであった。側壁では,限局して間隙形成が認められ,気泡は間隙と逆の接着獲得面に向うことが観察された。 以上のことから、μCT画像分析により,窩壁とレジンの接着状態が窩洞内のレジンの重合時収縮挙動に大きな影響を与え,レジンの収縮挙動は光の照射方向より接着により大きな影響を受けることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、Three-dimensional X-ray micro-computed tomography analysis of polymerization shrinkage vectors in flowable composite の論文をDental Materials Journalに投稿、accept を得て掲載の準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.動的粘弾性の測定について 今回,購入した粘度TVE-33Hは,流動性のほか,アプリケーターから押し出される際のレジンに加わるずり応力(ずり変形)と粘性変化の評価から,材料自体が持つチクソトロピー性(揺変性)の評価も可能である。より臨床的なフロアブルレジンの応用として、1つのフロアブルレジンでも、異なるアプリケーターの応用によりさまざまな揺変性を獲得できれば、臨床的に広く応用できるのではないか推測される。 2. 窩洞内レジンの応力分布の測定 今回、重合時のレジンのフロー特性(収縮ベクトル)を求めるため、練和により混入させた気泡の移動方向、距離を計測して評価したが、これらの気泡は、レジン収縮挙動だけでなく当該部の応力特性をも表しているのではないかと推測される。接着条件①において、開放面,間隙形成面には収縮した気泡が多く,逆に接着獲得側では気泡の膨張が生じていることが観察されたことから、気泡は周囲レジンの影響を受け膨縮し、気泡の体積変化を計測することで、窩洞内のレジンの応力分布を知る有益な方法となるかもしれない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度購入予定であったレジン内の混入した気泡の膨張収縮の発現を解析するGraph-R Plus (Graph-R Project)を次年度の購入に繰り越したため、本年度の使用額が少なかった。 次年度、レジン内の混入した気泡の膨張収縮の発現をGraph-R Plus (Graph-R Project)で分析するため、次年度購入する予定である。
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