2012 Fiscal Year Research-status Report
新規口腔内モデルを利用した、高齢者根面う蝕に対する過再石灰化システムの構築
Project/Area Number |
24592888
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
椎谷 亨 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (40350532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 義晴 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (40247317)
寺中 敏夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60104460)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 過再石灰化 / 口腔内モデル / TMR分析 / 象牙質脱灰 |
Research Abstract |
まず被験者6名について私達の研究グループの考案した新規口腔内装置を作製した。すなわち、被験者の下顎印象採得を行い、模型を作製した後、ワイヤークラスプを4番と7番にかけ、即時重合レジンを床に用いた口腔内装置の作製を行った。その両側頬側レジンフレンジ部には、薄切象牙質試片を挿入する凹部を3つ付与した。 象牙質試片は、ウシ下顎中切歯の歯根部から作製した。超音波にて30分間洗浄し、チューブ状プラスチック容器の水に浸漬した状態で、放射線照射施設にガンマ線滅菌の依頼を行った。その後1mm×3mmの窓開けをネイルバーニッシュにて行い、シリコン印象材を用いて、口腔内装置凹部に3つずつの試料を取り付けた。窓開け面の半分を新規イオン徐放性歯面コーティング材料(松風社製)で被覆した象牙質試料、および被覆しないものを同数用意し、前者は各被験者の左側口腔内装置に、後者は右側口腔内装置に挿入した。 口腔内装置は1日3回の食事時に10%シュクロース水溶液中に浸漬し、その時間以外は必ず口腔内に装着した。ただし、食事時、ブラッシング時、就寝時は、左右別々に湿潤ガーゼに包んで保管した。このスケジュールを4週間繰り返した。その後、得られた象牙質試料から厚さ300μmの薄切片を作製し、通法に従いTMR分析を行った。 この研究の意義は、新規考案した口腔内モデルを利用して、過再石灰化環境の構築をめざすことにある。より実際の口腔内に近い環境下で高齢者根面う蝕に対する過再石灰化治療システムを考えることは非常に重要である。 今回の結果、被験者により象牙質表層下脱灰病巣のでき方にかなり差があり、病巣体部の脱灰が強すぎるケースも見られた。新規材料の影響を受けた群では、材料被覆のない群と比較し、ミネラル密度の高い傾向は見られたが、脱灰病巣の重篤なものも多く、その改善が望まれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の結果では、被験者によって象牙質表層下脱灰病巣のでき方にかなり差があり、病巣体部の脱灰が強すぎるケースも認められた。新規材料の影響を受けた群では、材料被覆のない群と比較し、ミネラル密度の高い傾向はみられたが、全体的に脱灰病巣の重篤なものが多く、その改善が望まれた。その原因としては、口腔内装置の頬側レジンフレンジ部に、試料をすべて覆うように長方形の実験用サンプルパックを使用したが、保水能力が十分でなく、溶液が想定以上に試料表面に直接的に作用してしまうため、浸漬したシュクロース水溶液の影響が必要以上に強く出てしまったものと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の反省をもとに、口腔内装置の頬側レジンフレンジ部の試料を覆う実験用サンプルパックを、口腔内のさまざまな液体成分をより貯留させるべく、より保水能力を持つガーゼタイプに変更し、口腔内の唾液成分の影響が強まるよう配慮し、口腔内モデルの改良を行う。その上で、被験者6名により再実験を試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(B-A)が14,923円となったが、必要となる消耗品を購入するには中途半端な金額であったため、次年度に繰り越すこととした。 口腔内装置の作製はすでに行っているが、それ以外に関しては本年度と同様の物品費(消耗品)、いくつかの学会発表のための旅費、登録費、参加費として研究費を使用する計画である。
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