2012 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用に向けた象牙質再生のための幹細胞分化促進と歯髄再生法の確立
Project/Area Number |
24592889
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
林 宏行 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (50098018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
好川 正孝 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70148451)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨髄幹細胞 / 歯髄・象牙質複合体 / 担体 / ハイドロキシアパタイト / BMP / デキストラン / オステオカルシン |
Research Abstract |
本研究の目的は、第一に、骨髄幹細胞から象牙芽細胞あるいは歯髄細胞の分化・誘導による再生象牙質での歯の欠損部の補填あるいは歯髄・象牙質複合体再生であり、歯髄除去後の根管における歯髄の再生の方途の確立である。第二に、骨髄幹細胞と線維芽細胞を混合培養して、歯髄組織および象牙質の再生を実現し、歯根膜を有する歯を再生することである。その目的に向けての歯または歯髄・象牙質複合体の再生にはin vitroでもin vivoでも担体を必要とし、多孔質ハイドロキシアパタイト(HA)担体が用いられる。そのすべての気孔に緻密に硬組織が形成されて強固な構造が得られるが、骨髄細胞を用いてのHA担体での骨形成で全体の気孔における骨形成は認められていない。 骨形成タンパク質であるBMP-2あるいはデキストランによる骨髄幹細胞の分化と骨形成の促進を図って多孔質HA担体全域にわたっての気孔に緻密な骨を形成させて歯の再生治療を目指す必要がある。 24年度には、多孔質HA担体をBMP-2あるいはデキストランでコーティングし、多孔質HA担体気孔内骨形成を図って、in vitroおよびin vivoでの骨髄細胞を播種した担体内の骨形成を評価した。その評価には組織化学的にオステオカルシンの定量を行った。 その結果、BMP-2あるいはデキストランをコーティングしたHA担体内では非コートHA担体に比較して有意に多くの骨の形成が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究目的と研究計画では、in vitroで象牙芽細胞から象牙質形成が再現できないために多孔質のハイドロキシアパタイト(HA)担体内で骨を形成させ、それを代替としての歯の再生を目指すことにあった。 多孔質HA担体内部全体の気孔に緻密に骨を形成させるためにデキストランと骨形成性タンパク質であるBMP-2とをそれぞれHA担体に浸潤させてHA担体内気孔壁をコーティングし、骨髄幹細胞の分化と骨形成の促進を図って骨の再生を試みて良好な結果が得られた。 この結果は24年度の目的を概ね達したものと言うことができる。 しかしながら、幹細胞を混じたアルギン酸ゲルを担体気孔内に注入してのin vitroにおける骨形成は実施できなかった。予備実験でのアルギン酸ゲル内での骨髄幹細胞の分化・増殖および骨芽細胞への分化が進まなかったためで、その原因は使用したアルギン酸にあると考えている。別のアルギン酸を用いて再実験を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
間葉系幹細胞採取源の確立を図る。骨の再生の実験ではラット大腿骨から採取した骨髄細胞が用いられてきた。医科では骨の再生のために患者の腸骨骨髄から骨髄細胞を採取しているが歯科領域の臨床では困難である。歯科での患者からの幹細胞採取源の確立が必要であり、口腔内頬粘膜細胞から幹細胞を得る手法を確立する。頬粘膜から得た細胞から幹細胞を探し、また、脱分化させて骨芽細胞に分化させる。デキサメタゾンあるいはBMPを頬粘膜由来細胞の脱分化と骨芽細胞への分化の誘導因子として培養液に添加し、培養する。 円柱状および異なる直径の中空部を有する円筒状の多孔質ハイドロキシアパタイト(HA)担体の全気孔内に骨形成を誘導して構造的に強固する。すなわち、円柱状および円筒状のHA担体に骨髄細胞、また、頬粘膜由来細胞を播種し、in vitroとFischer 344rat背部皮下埋入によるin vivo実験を実施する。In vitroでは免疫化学的に担体内オステオカルシン定量を行い、in vivoでは5~6週の埋入期間後に摘出した担体を組織学的に検索して気孔内骨形成を観察し、また、免疫化学的にオステオカルシン定量を行って担体内骨形成量を検討する。ハイブリッド担体として中空部にはアルギン酸スポンジあるいはポリビニル系スポンジを満たし、血液由来細胞を播種して歯髄再生を図るため、in vitroとin vivoでの同様の実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費はすべて実験に使用する動物および飼育材料、細胞培養に必要なプラスティック器具、試薬類などの消耗品の購入に充てる。 24年度を含めた成果を学会で発表するために旅費および参加費を支出する。 また、成果を印刷公表する予定をしている。その際に、英文校正が求められるのでその校正費が必要であり、Jouranlによっては掲載料を必要とする。
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Research Products
(10 results)