2012 Fiscal Year Research-status Report
固定性補綴装置の支台インプラント数・位置に関する生体内三次元荷重測定に基づく検討
Project/Area Number |
24592896
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川田 哲男 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (80292225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 信裕 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20451601)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
小川 徹 東北大学, 大学病院, 講師 (50372321)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インプラント / 三次元荷重 / 咬合 / 生体内測定 / 上部構造 |
Research Abstract |
固定性インプラント補綴治療の良好な予後を得るためには,機能時に支台インプラントに加わる荷重の大きさ,方向を考慮した設計を行うことが重要である.本研究は,最大随意咬みしめ時(以下,MVC),ならびに咀嚼を想定したワックス咬みしめ時(以下,WAX),固定性上部構造の支台インプラントに加わる荷重を生体内測定することにより,機能時にインプラントに加わる荷重動態を解明し,固定性インプラント補綴治療における埋入位置の決定や上部構造の設計に関する生体力学的なエビデンスの構築を目的とした. 小型水晶圧電式センサをフィクスチャー上にスクリュー固定し,その外側に実験用上部構造を設置した荷重測定システムを開発し,生体内における機能時に支台インプラントに加わる荷重を測定した.被験者は2名,被験インプラントは被験者1名が中間欠損の連続した大臼歯・小臼歯部の2本,1名が小臼歯部1本であった. 最大荷重量は,小臼歯部に比較して大臼歯部のインプラント荷重が大きい傾向がみられ,中間欠損部の大臼歯部を除き,他のインプラントではMVCと比較してWAXで有意に大きかった.最大荷重の側方成分は,中間欠損の小臼歯部ではWAXと比較してMVCで有意に大きかったが,他ではMVCと比較してWAXで有意に大きかった.荷重方向の変化量についても,中間欠損の小臼歯部ではWAXと比較してMVCで有意に大きく,他ではMVCと比較してWAXで有意に大きかった.最大荷重の方向は,小臼歯部では左右方向に有意が異なり,中間欠損部の大臼歯部では両タスク間に有意差は認められず,最後方の大臼歯で前後方向にて有意差が認められた.また,2歯連続したインプラント補綴の場合,MVCにおいては上部構造を単冠にした場合に比較して,連結した場合に有意に荷重分散効果が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固定性インプラント上部構造に加わる荷重を生体内で測定するために,各被験者毎に測定装置をカスタムメイドする必要があるが,これまでにも数名の被験者において三次元小型水晶圧電式センサによる口腔内インプラントおよび歯に加わる荷重測定システムを開発し,いずれも生体内応用に成功しているため,カスタムメイドは円滑に遂行できた。 生体内測定を行い,荷重データを分析したが,荷重に影響を及ぼす影響が多様なため,解析方法を決定するの困難であった。そこで今回は新たに解析のため生体内の被験者を模倣した模型実験を行うことにより,荷重に影響を及ぼす因子を分析することで,生体内測定データをより詳細に解釈することが可能となり,従来予定していた分析方法をさらに発展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,生体内荷重測定を1名の被験者に対して実施し,測定結果の解析方法および模型実験による生体内データの検証方法を確立した。今後は本測定方法および解析方法を応用し,より多く欠損形態にも対応可能なように測定装置の改良を行う。さらに,様々な口腔内機能を分析できるよう,多くのタスクにおけるデータを解析し,また,上部構造の咬合接触,咀嚼運動が及ぼす影響についての分析方法を確立し,インプラント補綴臨床における生体力学的エビデンスに基づく荷重制御に関するガイドライン構築を目指していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度にて確立したシステムを用い,さらに被験者を増加して生体内測定を行い,より多くの欠損パターンに適用していく。その結果を解析し,未解明項目に関して検討するために,不足データの補完を行う.上部構造に与える咬合因子(咬合接触の点数・面積,側方ガイドの付与,カンチレバーの長さ等)を変化させた際のインプラント荷重を測定し,歯科補綴学的因子とインプラント荷重との関連性を評価する.また,グラインディング,各食品咀嚼(ガム,ピーナッツ)等のタスクを追加し,様々な顎運動におけるインプラントに加わる荷重動態を解明する。さらに可能であれば被験者を追加し異なるケースにおける生体内測定データ間の比較検討を行う。
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