2013 Fiscal Year Research-status Report
固定性補綴装置の支台インプラント数・位置に関する生体内三次元荷重測定に基づく検討
Project/Area Number |
24592896
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川田 哲男 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (80292225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 信裕 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20451601)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
小川 徹 東北大学, 大学病院, 講師 (50372321)
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Keywords | 歯科用インプラント / 三次元荷重 / 咬合 / 生体内測定 / 上部構造 / カンチレバー |
Research Abstract |
固定性インプラント補綴治療の良好な予後を得るためには,機能時に支台インプラントに加わる荷重の大きさ,方向を考慮した設計を行うことが重要である.本研究は,最大随意咬みしめ時(以下,MVC),ならびに咀嚼を想定したワックス咬みしめ時(以下,WAX),固定性上部構造の支台インプラントに加わる荷重を生体内測定することにより,機能時にインプラントに加わる荷重動態を解明し,固定性インプラント補綴治療における埋入位置の決定や上部構造の設計に関する生体力学的なエビデンスの構築を目的とした. 小型水晶圧電式センサをフィクスチャー上にスクリュー固定し,その外側に実験用上部構造を設置した荷重測定システムを開発し,生体内における機能時に支台インプラントに加わる荷重を測定した.本年度は下顎左側大臼歯部に3本のインプラントが埋入されている被験者1名について測定を行い,インプラントの位置や本数、カンチレバーの有無が及ぼす影響について考察した. MVCでは近心カンチレバーを有する場合においてカンチレバー部に隣接するインプラントに大きい荷重が加わった.この結果より,支台本数が減少することでインプラント単体に加わる荷重が増加することが示され,特にカンチレバーブリッジの場合,カンチレバー部に隣接する支台インプラントで顕著に大きくなった.本被験者の場合,WAXではパラフィンワックス片を介して咀嚼力を受圧するのが上部構造全体であり,咀嚼力がより多く負荷される後方の大臼部に埋入されたインプラントでより大きな荷重が加わったため,カンチレバーの隣接インプラントで荷重量が大きくなったと推察された.インプラント補綴臨床においてカンチレバーを有する延長ブリッジを設計する際には,荷重に影響を及ぼす諸因子への配慮が必要であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は固定性インプラント上部構造に加わる荷重を生体内で測定するために,各被験者毎に測定装置をカスタムメイドする方法を開発できたため、装置のカスタムメイドは円滑に遂行できた。 本年度は初年度よりもより複雑な条件の被験者において生体内測定を行い,荷重データを分析したが,荷重に影響を及ぼす影響が多様なため,解析方法を決定するの困難であった。しかしながら,支台本数と位置が及ぼす影響に関して明確に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータに関して総括を行う。得られたデータに及ぼす影響についてさらに詳細に解析するために、これまでの被験者の生体内を模倣した模型実験を行うことにより,荷重に影響を及ぼす因子を分析する。これにより生体内測定データをより詳細に解釈することが可能となり,上部構造の咬合接触,咀嚼運動が及ぼす影響についての臨床的エビデンスを確立し,インプラント補綴臨床における生体力学的エビデンスに基づく荷重制御に関するガイドライン構築を目指すことが可能となると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は最初の被験者の測定準備から測定、およびデータ処理までに予定より時間がかかってしまったため、当初予定していた模型実験の準備が完了しなかった。そのため、模型実験の準備費用、またはそれに伴う謝金・人件費が使用できなかったことが次年度使用額が生じてしまった理由である。 次年度使用額は生じてしまったが、その額は69923円であり、次年度は基本的には当初の予定通り研究を遂行していく予定である。次年度使用額は主に物品費や人件費・謝金として使用予定である。
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