2013 Fiscal Year Research-status Report
三次元計測に基づく顔面の形態的特徴と患者QOLとの相互連関に関する検討
Project/Area Number |
24592897
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塙 総司 東北大学, 大学病院, 助教 (90431585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
小山 重人 東北大学, 大学病院, 准教授 (10225089)
小川 徹 東北大学, 大学病院, 講師 (50372321)
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Keywords | 顔面計測 / 義歯形態 / 顔面整容 / 三次元デジタイザ / QOL |
Research Abstract |
本研究では,顔面の非対称性の改善が困難な患者のQOLを向上させることを目的として,顔面非対称者を用いて三次元デジタイザを利用した客観的評価とアンケート調査による満足度との関連性を明らかにし,満足度が得られる顔貌の特徴を明らかにすることである.本年度においては,義歯非装着時および義歯装着時における顔面が非対称と判定された上顎片側性顎欠損を有する顔面非対称患者8名を用いた.患者の顔面に18個の計測点(左右外眼角点,左右内眼角点,鼻頂点,鼻下点,左右鼻翼上点,左右鼻翼中点,左右鼻翼下点,正中上唇点,左右上唇点,左右口角点,下口唇点)を設定し,塞栓子付の上顎顎義歯装着時における各計測点の移動距離,移動方向を計測した.義歯は通法の筋圧形成を用いて製作した. 顎義歯装着によって,患側鼻翼中点,鼻頂点,鼻下点が左右側方向に有意に移動した(p<0.05).上下方向に有意に移動した計測点は認められなかった.患側鼻翼下点,患側口角点,鼻下点においては,顎義歯装着により前方方向に有意に移動した(p<0.05).健側で有意に移動した点は認められなかった.鼻翼上点は健側で3.8mm,患側で3.4mmの移動が認められた.鼻翼中点は,健側で1.8mm,患側で3.4mmであった.鼻翼下点は,健側で2.1mm,患側で6.6mmの移動が認められ,左右で有意差が認められた(p<0.05).上唇点では,健側で4.3mm,患側で4.1mm,口角では健側で3.0mm,患側で4.2mmであった. これらの結果より,顎義歯装着は患側の鼻周囲および上唇周囲に影響を及ぼすことが明らかとなった.ヒトが顔貌の変化や違和感を認識するのは3 mm以上という報告があるため,有意差は無いが3mm以上移動した計測点周囲においては,顔貌の変化を認識させるような形態的変化が起きている可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は被験者8名を用いて通法に従って顎義歯を製作,装着し,顔面計測および分析を行った.計測点数が多く,各計測点を三次元座標(X,Y,Z)に分割して分析を行ったため分析に多くの時間を費やしてしまい予定した計画よりも遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,実験方法,特に主観的評価に用いるプロトコールを確立させる.また,分析すべきデータ,項目が多く残されているので,迅速に分析作業を進めていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
被験者が何名か確保できず,その患者のために製作予定であった義歯製作費用が発生しなかったため次年度使用額が発生してしまった. 次年度使用額は,被験者を新たに確保しその義歯製作費用に必要な経費として,平成26年度請求額とあわせ研究遂行に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)