2012 Fiscal Year Research-status Report
可視光励起型低濃度過酸化水素ラジカル殺菌技術を搭載した義歯洗浄器開発と臨床評価
Project/Area Number |
24592901
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 太郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30302160)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒドロキシルラジカル / 義歯洗浄 / 過酸化水素 / 可視光照射 |
Research Abstract |
われわれはこれまで、日常臨床で用いられるオキシドール(1M;3%)よりも低濃度の過酸化水素に、可視光領域の波長(405 nm)のLEDを照射することで、効率的にヒドロキシルラジカル(HO・)を発生させ殺菌を行うという新しい義歯洗浄器を試作し検討を行ってきた. 義歯をこの洗浄器で洗浄する際、HO・は強力な酸化剤であるため、繰り返し義歯洗浄を行った場合には義歯材料の酸化劣化を引き起こす懸念がある。本年度は、過酸化水素の光分解によって生じるHO・が床用レジンに及ぼす影響を評価した。実験は、市販マイクロ波重合型床用アクリルレジンで作成した板状試料で行った。試料を、1) 1M過酸化水素に浸漬し、放射照度16 mW/cm2でLED照射を行ったもの、2) 1M過酸化水素に浸漬し、放射照度10 mW/cm2でLED照射を行ったもの、3) 純水に浸漬し、放射照度16 mW/cm2でLED照射を行ったもの、4) 1M過酸化水素に浸漬し遮光したもの、5) 純水に浸漬し遮光したもの、に分け、光源には実験用LED照射装置(波長:400 nm)を用い、7日間の浸漬試験を行い、レジンの物性および色調変化を評価した。その結果、1)と2)では5)に比べて有意に低い曲げ強度を示した。色差についても1)と2)で5)に比べて有意に大きな値を示した。今回の連続処理は、約500日の繰り返し洗浄に相当するが、今回の結果から、1Mの過酸化水素を用いる場合は、曲げ強度および色調への影響を避けるために、放射照度10 mW/cm2未満の光照射で用いるのが望ましいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の大きな目標であった、高光量・温度設定付に改良した試作義歯洗浄器の製作は完了することができた。しかしながら、この試作機を用いて行うin vitro 実験系が未確立であったため、殺菌力評価をはじめとする実験は現在のところ検討中である。したがって、今回は実験用LED照射装置を用いて床用レジンの理工学的評価を行うところまでを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、試作義歯洗浄器でヒドロキシルラジカル量の測定・殺菌力の評価・義歯材料物性の変化の評価等のin vitro 試験が行えるようにするための実験システムを考案中である。今後は実際の製品に近い本試作器を用いた基礎的評価と、洗浄液の評価、洗浄方法の検討、安全性評価を行う。その後は、患者義歯を用いたin vivo 試験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(13 results)