2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24592903
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上野 剛史 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30359674)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 抗酸化能 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症状態にある生体組織では、多くの活性酸素種が発生することが報告されている。過剰に発生した活性酸素種は、顎関節においては骨芽細胞や軟骨細胞の代謝に障害を与え、ひいては治癒に遅延、骨・軟骨の変性などを引き起こすことが知られている。まず本研究では、この活性酸素種により生じる酸化ストレスを実験的にシミュレートし、活性酸素種の細胞機能抑制効果を検討した。この酸化ストレスにより、接着や代謝などの、細胞の基本的な機能が阻害されるが、多量に作用させると細胞死を引き起こす。そのような高濃度ですべての細胞を死滅させてしまうと実験が成立しないため、低濃度で用いて細胞死までは誘導せず、生体の炎症状態をシミュレートするような実験系を設定した。細胞はラット組織由来の軟骨細胞を用いた。酸化ストレスにより抑制された細胞機能に対しては、主にアミノ酸誘導体(AAD)を用いた機能回復効果を評価した。その結果、酸化ストレスにより低下した軟骨細胞の接着機能および代謝機能が、AADの添加により、回復することが示され、同時にある程度の至適濃度が存在することが示された。次に、この至適濃度を3種類に絞り込み、細胞の分化能を評価したところ、酸化ストレスにより低下した、コラーゲンⅡの遺伝子発現が回復し、さらに、軟骨細胞の代表的な生成タンパクであるグリコサミノグリカンの生成量も回復したことが示された。このメカニズムを考察するため、AADの効果として、活性酸素種の直接的な除去および、細胞内抗酸化能の亢進の両者を評価したところ、活性酸素種の直接的な除去もあることは認められたが、それよりも細胞内の抗酸化機能を有意に亢進させ、その結果細胞機能を酸化ストレスから防御するという効果が認められた。本研究結果は、AADが、酸化ストレス下にある、すなわち炎症状態にある細胞の機能を亢進させ、組織の治癒に寄与することができる可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)