2014 Fiscal Year Annual Research Report
咬合支持の喪失ならびにその回復と記憶学習との関連について-酸化ストレスの影響-
Project/Area Number |
24592913
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原 哲也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60238160)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 森彦 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90335612) [Withdrawn]
黒住 明正 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20599790) [Withdrawn]
皆木 省吾 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80190693)
伊志嶺 知沙(黒田知沙) 岡山大学, 大学病院, 助教 (40581096)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 酸化ストレス / 咬合 / 記憶 / チオバルビツール酸反応物質 / Superoxide dismutase |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスは老化危険因子として注目されており,記憶学習障害の発症に影響していることが報告されている。本研究では,「咬合支持の喪失によって脳内の酸化ストレスが増加して記憶学習機能の低下を生じ,咬合支持の回復に伴いこれらも回復する」という仮説のもとに,咬合支持の喪失ならびにその回復と記憶学習との関連について行動学的に観察し,脳内の酸化ストレスを免疫学的に検討することを目的とする。 Wistar系雄性ラット21匹を用い,上顎臼歯を抜歯した臼歯抜歯群,臼歯抜歯後咬合支持を回復させるための実験用義歯を装着した義歯装着群ならびに対照群を設定した。記憶学習試験には受動的回避実験装置を用いた。試行終了後に麻酔下で屠殺し,血液と海馬を採取した。酸化ストレスの影響として8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG),チオバルビツール酸反応物質(TBARS),カルボニル化タンパク質を,抗酸化作用としてSuperoxide dismutase(SOD)をELISA法で計測した。 受動的回避実験では,臼歯抜歯群は他の2群に比べて学習が遅く,また,早くに忘却した。義歯装着群では対照群に比べて有意に短時間で暗箱に入るようになった。臼歯抜歯群ならびに義歯装着群の8-OHdGとカルボニル化タンパク質は,対照群に比べて有意に高値を示した。また,臼歯抜歯群では対照群に比べて,TBARSは有意に高値を示し,SODは有意に低値を示した。以上の結果から,対照群に比べて臼歯抜歯群では早期から,義歯装着群は経時的に記憶学習能の低下が示された。また,臼歯抜歯群は対照群に比べて酸化ストレス状態であり,義歯装着群は脂質の酸化反応と抗酸化作用の点では対照群と差異ないことが示された。これらの結果から,咬合支持の喪失による記憶学習能の低下には酸化ストレスが関与する可能性が示唆された。
|