2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞の電子伝達系をモデルにしたレジンの高耐久接着による歯根象牙質の新規再生
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24592924
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平 曜輔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40226725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添野 光洋 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (50315256)
鎌田 幸治 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60264256)
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Keywords | 象牙質 / 接着 |
Research Abstract |
本研究では、電子伝達体とその類似化合物を象牙質用プライマーとして応用し、トリブチルボラン重合型レジンの象牙質接着性改善を試みている。多数の電子伝達体のなかから、生体に体する為害作用が低く、水に対する溶解度が高く、かつ入手が比較的容易な物質を検討した結果、あるクロロフィル誘導体(CLD)が有力候補として浮かび上がった。本年度は、昨年度試作した接着システムを用い、その接着耐久性を評価することが主な目的のひとつであった。実験では、象牙質表面を10%リン酸でエッチングした後、1x10-7 mol/g CLDと35% HEMAを含有する水溶性プライマー、あるいは1x10-6 mol/g CLDと35% HEMAを含有する水溶性プライマーを塗布し、4-META/MMA-TBB接着性レジンを用いて金属製被着体と接着した。接着した試験片を37℃水中に24時間浸漬し、また、4℃と60℃の水中に各1分間浸漬する水中熱サイクル試験を500回繰り返した後、引っ張り接着強さを求めた。さらに、接着試験後の試料破断面を顕微鏡下に観察した。その結果、1x10-7 mol/g CLDを含有するプライマーの場合は接着強さが8.8 MPa(接着界面剥離およびレジンの凝集破壊)、1x10-6 mol/g CLDの場合は9.4 MPa(接着界面剥離およびレジンの凝集破壊)、CLDを含有しないプライマーの場合は0.04 MPa(全て接着界面剥離)であった。以上の実験結果から、CLDには象牙質の初期接着強さだけではなく、接着耐久性改善効果も有していることがはじめて示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画に基づいて実験を行った結果、今後の研究につながる新知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書および交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画に従って実験することを基本とし、もし何らかの理由で研究がうまく進まない場合は、実験方法を適宜修正して、その後の研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品の値引きや消耗品の購入を最小限にとどめたことなどによって次年度使用額が生じた。 実験に必要な物品の購入費、当該研究に必要な情報収集や学会発表のための旅費、その他論文作成のための諸経費等に使用する計画である。
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