2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592939
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
三浦 英司 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20157423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 匠 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20267537)
井川 知子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (70552389)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CAD/CAM |
Research Abstract |
口腔内に装着された全部床義歯の人工歯の咬合面形態は,時間の経過と共に患者固有の機能的咬合面形態へと変化し,生体に調和していく.しかし,その義歯を継続して使用すると,人工歯咬合面は咬耗が進み,咬合面形態は失われ,機能的に最良の状態を維持することは難しい.機能的咬合面形態の維持には金属歯の使用や複製義歯の製作といった方法が考えられるが,その製作は煩雑であり高い技術が要求される.一方,近年ではデジタルデータを用いたCAD/CAMシステムが発展し,臨床に広く活用されている.この技術を用いて義歯の3次元形状をデジタル化し,加工機や3次元造形機で出力することで,機能的咬合面形態を持つ義歯を高精度に複製することが可能となる.そこで,本研究ではCAD/CAMシステムを応用し,義歯の長期的な機能維持のため,咬合面部にpressable ceramicを用いた複製義歯(以下,Digital Duplicate Denture)の製作を試みた.Digital Duplicate Dentureの製作は,1.対象義歯の3次元形状データの取得,2.VR設計およびRP造形,3.技工操作の順に行った.CAD技術を用いることにより,義歯床部と人工歯部を分離したモデル設計を行い,Digital Duplicate Dentureを製作することができた.しかし,3次元形状データの取得,VR設計等の各工程で誤差が発生すると考えられる.そこで今後は,本製作手法による機能的咬合面形態の再現精度の検討とともに,患者にDigital Duplicate Dentureを装着したときの適合性や咬合接触,そしてその予後について調査していきたいと考える.また,義歯床および人工歯をミリングにより製作することでさらに高精度で簡便なDigital Duplicate Dentureの製作を考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の当初の目標は1)CT データおよび3次元表面形状装置からの総義歯形態の抽出,2)顎顔面解剖形態からの総義歯形態の構築,3)機能運動を包括した機能咬合面の構築,であった.1)の総義歯形態の抽出は三次元表面形状装置から採得したデータをもとに精度よく構築することが可能であった.しかし,2)の顎顔面解剖形態からの総義歯形態の構築はCTの粘膜面の描出が難しいこと,また可動粘膜,固有粘膜の差を画像上で診断することは不可能であり,造影剤を混入させた複製義歯による画像の鮮明化を予定していたが,複製義歯の表面・裏面を3次元表面形状装置から採得する方が簡便であり,実用的であった.そこで平成25年度で予定していた総義歯形態と機能咬合面形態の統合を行い,CAD/CAM技術を応用したDigital Duplicate Dentureの作成を行った.システムの構築を行い,実際に症例による検討を行い,良好な経過が得られていることからもおおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
口腔内に装着され,機能している義歯は時間の経過と共に患者固有の機能咬合面形態へと変化し,生体に調和していく.しかし,その義歯をその義歯を継続して使用すると,人工歯咬合面は咬耗が進み,咬合面形態は失われ,機能的に最良の状態を維持することは難しい.機能的咬合面形態の維持には金属歯の使用や複製義歯の製作といった方法が考えられるが,その製作は煩雑であり高い技術が要求される.本システムの特徴は現在機能している義歯を精度良く複製することが可能であり,さらに人工歯部分を従来のレジンまたは硬質レジン以外の耐久性の高い材料を使用できることである.しかし,義歯に使用されたセラミック系材料が機能したとき,摩耗量や摩耗の状態を知る必要がある.そこで,平成24年度に設置した摩耗試験機によりセラミック系材料の摩耗試験を行い,咬合面形態に及ぼす影響について検討を行う予定である.またシステムの効率化を図り,技工操作を簡便にすべく改善しなければならないと考える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の計画を遂行するために必要な材料およびソフトウェアの購入が必要となる.また,平成24年度に計画していた備品がそろっていないため,これらの購入も行う予定である.また,研究結果は学会等に発表し,最終年度にあわせて論文の作成を行う.
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Research Products
(1 results)