2012 Fiscal Year Research-status Report
チタン合金のナノ構造制御によるインプラント周囲骨形成能の向上
Project/Area Number |
24592942
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
楠本 哲次 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70186394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 昭二 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (20067185)
田口 洋一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (60434792)
小正 聡 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70632066)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ構造 / インプラント / オッセオインテグレーション |
Research Abstract |
現在のインプラントフィクスチャーには純チタン以外に様々なチタン合金を主成分としたインプラントがある.今回開発された表面改質がチタン合金にも応用できれば,どのインプラント材料においてもオッセオインテグレーション期間を短縮することが可能となる.そこで,本研究ではインプラント材料として使用される代表的なチタン合金の一つであるTi-6Al-4V表面上にTNSを析出させ,骨髄細胞の分化発現について比較・検討を行った.実験材料としてナノシートを析出させた市販のTi-6Al-4V合金を使用し,対照群として#2000まで研磨した同材料を使用した.TNSの析出には,各試料を10 Mの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し,攪拌した状態で室温および大気圧条件下で24時間反応させた.反応後,試料を取り出し,イオン交換水にて導電率が5 μm以下になるまで洗浄を行った後,自然乾燥にてチタン金属表面にTNSを析出させた.次に,生後7週齢のSD系雄性ラットの両側大腿骨から骨髄間葉細胞を採取後,初代培養を確立しその3代目を実験に供した.次に,細胞を1穴あたり4×104個ずつ各試料上に播種し,培地に10 mM β-グリセロン酸ナトリウムと82 μg/ml アスコルビン酸,10 Mデキサメタゾン含有の分化誘導培地を用い培養後14,21日後のALP活性および28日後のオステオカルシンの産生量およびカルシウムの析出量を測定した.統計学的解析には,各測定値にStudentのt検定を用い,有意水準は5 %に設定した.14,21日後のALP活性,28日後のオステオカルシン産生量およびカルシウムの析出量は対照群と比較し,すべて実験群が有意に高かった.この結果から,チタン合金においても,純チタン金属と同様に,ナノレベルでの表面改質が骨髄細胞の硬組織への分化誘導の向上に有用であるという可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チタン合金におけるTNS構造の析出に成功し、ラットの骨髄細胞を利用したin vitro評価により、チタン合金においても硬組織分化誘導能の向上に寄与できる可能性の一端を示したため。また、TNS構造の分子間構造の解明にも務めており、Journal of Prosthetic Dentistryに投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の研究結果をもとに、TNS構造の分子間構造の解明に努めるとともに、すでに報告を行っている純チタン金属表面に析出したTNS構造との細胞接着、硬組織分化誘導能の比較も行う.また、In vivo評価法の確立もスタートしており、年内にはその一端を報告予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度と同様、本研究費の大半は、細胞培養から解析にいたるまでの実験に関わる消耗品に費やされる。消耗品に関しては、必要性を吟味し、積算により算出した。 研究施設に設置されている走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡、万能試験機等を利用しできるだけ経費の節減に努めて研究を行う。
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Research Products
(5 results)