2012 Fiscal Year Research-status Report
軽度の要介護高齢者における予防重視型の栄養改善アクションプランの確立
Project/Area Number |
24592944
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
田中 順子 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (80319582)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者 |
Research Abstract |
高齢者が自立した生活を続けるためには,食生活の影響が大きい.食事によって身体機能,生活機能,免疫機能が問題なく維持できれば,要介護状態に陥ることなく健康寿命の延長が望める.介護予防の観点から取り組む栄養改善プランとは,高齢者が食事しやすい体調を作る「食べることを支援する」を目的とする.本研究は低栄養の軽度の要支援者を対象に,栄養改善を歯科治療,口腔ケア,摂食・嚥下リハビリテーションによって行い,予防重視型の栄養改善アクションプランを確立することである. 平成24年度の成果として,特定高齢者の要支援指定を受けた高齢者のうち,栄養改善を必要とし,痴呆に罹患していない高齢者9名を選択した.被験者に検査(*1)を行った.評価後,歯科治療の必要性の有無によって2群に分類した.歯科治療を行わない群の5名には,口腔周囲機能訓練(*2)を半年間月2回行っている.治療を行った者も治療後同様の口腔周囲機能訓練を行い,現在継続中である. 今年度の被験者らは訪問看護ステーションを利用する在宅高齢者である.訪問看護ステーションにおいて口腔内検査を行い,歯科治療を行わない群から協力を依頼した.被験者らは口腔周囲機能訓練に積極的に取り組んでいる.現在の時点では事後検査(*1)と事前検査の結果に大きな違いは認められていない. (*1)検査:栄養素摂取量,口腔内状況,歯科治療の必要性の有無,Plaque Index,BMI値,アルブミン値,口腔内細菌数,最大舌圧,反復唾液嚥下テスト(RSST),フードテストを行う. (*2)口腔周囲機能訓練:嚥下体操,舌骨上筋群の筋力強化(Mendelsohn手技,舌前方保持嚥下法訓練).各種リハビリ運動は文献等の時間を参考にし,30分以内に終了する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は低栄養の軽度の要支援者を対象に,栄養改善を歯科治療,口腔ケア,摂食・嚥下リハビリテーションによって行い,予防重視型の栄養改善アクションプランを確立することである.それゆえ,短期間での研究計画ではなく縦断的なものである. 平成24年度の計画では15名の高齢者を選択する予定であった.被験者の条件をクリアし同意が得られた方から順次実験を開始している.介入事項に関してはリサーチアシスタントの協力も得て行っている. しかし,達成できなかった事項に,被験者が9名しか集まらなかったことである.計画では在宅患者も対象者に考えていたが,実際在宅患者は要支援ではなく要介護者が殆どであり,条件を満たし協力してくれる方を探すことができなかった. それゆえ,平成25年度には当大学の所在地である枚方市に協力を仰ぎデイサービス利用者やケアハウスで引き続き被験者の条件に合い,協力してくれる方を探す予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究を継続し,被験者を集めながらさらに進める.約1年間で実験は終了するため,データを蓄積し,解析を行い始める. また,低栄養者に食事量を増やし,健康を維持することを目標としているが,その逆に誤嚥性肺炎というリスクも増加する可能性がある.その点を検査項目の最大舌圧だけでなく,舌の動きによって評価できないか模索中である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度も消耗品等については当初の計画通りである.しかし,備品申請していた舌圧測定器は当病院で用いられているものがあったため,消耗品のみ経費を使用した. 平成25年度も初期の計画通りデータを採取するが,評価法の一つとして食事時の舌の動きに関してポータブルの超音波診断装置の購入を考えている. 平成24年度で施設を周っている際,歯科治療の介入を拒否した欠損歯数の多い高齢者がむせずに食事を行っている様子を目の当たりにした. そこで本研究への評価に関して足りない点として,口腔周囲筋や舌の運動の評価が必要であると考える.在宅向けに小さく改良された超音波診断装置による舌の動きを診るため平成24年度の繰越金を用いて購入を考えている.
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