2012 Fiscal Year Research-status Report
睡眠時無呼吸症候群患者の食習慣の特徴および咀嚼指導が症状へ及ぼす影響
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24592946
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
吉田 和也 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (90263087)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 食習慣 / 咀嚼 / 肥満 / 生活習慣病 / 咀嚼指導 / 口腔内装置 / 治療 |
Research Abstract |
【方法】睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の食習慣と咀嚼の特徴とSASとの関連について解明するため、申請者が治療したSAS患者に以下のような食習慣と睡眠に関するアンケートを郵送し、さらに研究期間中の新患に対してアンケートによる調査を行った。食事メニュー(和食、洋食、肉、魚、野菜等の比率)、食事量(量および朝昼夕食の比率)、満腹度(満腹まで食べる、腹八分目)、回数(朝食または昼食抜き、または夜食の摂取)、食物繊維の量、朝昼夕食の摂取時間、食事開始時間(一定か不規則か)、夕食後就寝までの時間、誰と食事をするか(個食、家族と)、食事中の状況(テレビを見ながら、音楽を聴きながら、新聞、雑誌を読みながら)、食事の際の飲み物(種類、量)、咀嚼回数、嗜好(味付け、脂っこい、あっさり等)、間食(種類、量、回数)、カロリーの配慮、アルコール摂取(量、回数)、ファーストフードの摂取(種類、量、回数)、よく飲む飲み物(種類、量)等である。【結果】OSAS患者の重症度と食事の早さは正の相関がみられた。BMIとAHIが高いほど、咀嚼回数が少ない傾向が認められた。早食いの傾向がある非験者ほど、一口当たりの量が多く、咀嚼回数が少なかった。【考察】食べる速さとBMIには強い正の相関があり、早食いの人ほどBMIが高いことが報告されている。また咀嚼回数が少ない被験者ほどBMIとHbA1cが高いことが確認されている。時間をかけて咀嚼することによって神経ヒスタミンの量が増え、満腹中枢を刺激して少ない食事量で満腹感が得られるとされている。咀嚼指導を行い、咀嚼法を実践することによりBMIが減少したとの報告もあり、OSAS患者に対しても咀嚼指導により減量できる可能性が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SAS患者の食習慣と咀嚼の特徴とSASとの関連について解明するため、SAS患者に対してアンケートによる調査を行った。本研究において食事時間が短いほどBMIが高い傾向が認められた。食事量が多いほど、満腹まで食べる患者ほどBMIが高いことが明らかになった。また、BMIが高い患者ほど1日の総食事時間が短かった。OSAS患者において、咀嚼時間が短いほど、BMIが高い傾向がみられ、咀嚼指導により減量できる可能性が推測された。
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Strategy for Future Research Activity |
咀嚼実験によって咀嚼の特徴とSASの重症度との関連の分析 SAS患者の咀嚼の特徴とSASとの関連について解明するため、患者に非験食の咀嚼実験を行い、咀嚼パターンの特徴とSASの重症度との関連を分析する。またX線や模型分析によって形態のデータが得られる症例では、形態的特徴との相関を解明する。 上記2千数百例の患者のうち再診が可能な症例さらに研究期間中の新患に対しては、身長、体重、BMI、血圧、脈拍、呼吸数、腹囲、頚部周囲径、既往歴(内分泌異常、慢性疾患、悪性腫瘍の治療中等)、喫煙歴、内服治療の有無と内容を外来にて精査する。さらに、歯列の状態は石膏模型、顎顔面形態はX線と模型にて分析し、血液検査(血球数、生化学検査、糖脂質代謝マーカー等)、内臓脂肪評価のための腹部単純CT撮影を行う。 上記患者のうち同意が得られた症例に対しては非験食(米飯、煎餅、ガム等)を実際に咀嚼させ、その状況をビデオ撮影し、一口当たりの咀嚼回数、一口の量、咀嚼側、咀嚼能率、咀嚼時間、咬合力等を分析する。また、咀嚼中の咀嚼筋活動、マンディブラーキネジオグラフ(MKG K7)を用いて下顎運動経路、咀嚼パターンを記録する。 アンケート調査結果、身体所見、生活習慣病の有無、血液検査データ、歯列の状態、顎顔面形態、咀嚼実験の結果とSASの重症度を示す睡眠検査のデータとの関連を交絡因子を調整し、重回帰分析にて解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
咀嚼実験として非験食(米飯、煎餅、ガム等)を実際に咀嚼させ、その状況をビデオ撮影し、一口当たりの咀嚼回数、一口の量、咀嚼側、咀嚼能率、咀嚼時間、咬合力等を分析する。また、咀嚼中の咀嚼筋活動、マンディブラーキネジオグラフ(MKG K7)を用いて下顎運動経路、咀嚼パターンを記録する。
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