2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノカーボン物質と生体との相互作用機構の解明と生体機能材料への展開
Project/Area Number |
24592947
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 薫明 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40374566)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体適合性 / カーボンナノチューブ / フラーレン / 体内動態 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究では、フラーレンやカーボンナノチューブ(以下、CNT)などの炭素系ナノ微粒子(ナノカーボン)のバイオ応用の可能性を検討する為に、まずナノカーボンの親水化処理を行い、その生体物質・細胞への影響の検討、また体内動態の可視化を試みた。CNTの表面性状の差異による生体分子との相互作用への影響について検討するため、親水化処理前後のCNT誘導体に対するタンパクの吸着挙動を検討した。表面電荷の異なる2種類のタンパクを、未修飾/カルボキシル化CNTへと添加したところ、その吸着挙動に違いがみられた。今後は、用いるタンパクの種類を増加させることにより、タンパクの表面電荷、形状や分子量による効果や、更なるCNTへの表面修飾を行い、CNT表面とタンパク、生体分子との相互作用の機構の解明を試みる。また、CNTと細胞との相互作用について検討するために、CNT誘導体暴露下で培養した骨芽様細胞の表面状態を原子間力顕微鏡により観察した。その結果、細胞へのCNT誘導体の取り込みは確認されず、細胞表面にCNTが付着している様子が観測された。さらに、CNTなどのナノカーボンの生体内での分布をより簡便に可視化するため、顕微ラマン法を用いた臓器内に滞留しているCNTの直接観測を試みた。親水化CNTを投与したマウスの臓器(肺、肝臓)から、CNT由来のラマン信号の検出に成功した。今後は更なる条件検討を行い、臓器内分布のラマンマッピングの測定を試みる。 また、CNTの生体適合性の評価を行う際の対象物質として、長さや直径を制御可能なフラーレンC60ナノウィスカーを作成、光照射によるC60分子間重合による高機能化にも着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究課題としてあげていた、3つの課題(親水性ナノカーボンの作成、生体物質との相互作用機構、生体為害性の検討と体内胴体の可視化)について一定の成果を得ることが出来た。また25年度以降の課題としてあげた新規な可視化法の検討にも着手することが出来、顕微ラマン方による可視化の第一歩に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に引き続き、ナノカーボンの生体適合性についての検討を行うとともに、それらの成果を基に、バイオマテリアルへの応用、多機能ナノカーボンへの展開を試みる。また新規な体内動態の可視化法の開発についての検討も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備・装置などに関しては出来るだけ所属部局・研究室および学内外の供用施設を利用して研究を推進する。供用設備の使用料金や消耗品については、本研究費を用いて遂行する。また本研究に関する情報収集・研究成果発表のために国内外学会に積極的に参加し、それらの成果を学術論文として報告していく予定である。 24年度末に会計システムの不具合が生じ、年度内に決算が終了せずに、予算の未使用が生じたが、その後、それらの処理を行い、現在は概ね計画通りに研究予算の執行をしている。その為、25年度での使用については当初の計画通りの執行を予定している。
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article] Carbonate ion induced calcification using biomimetic enzymes with active reaction center of carbonc anhydrase2012
Author(s)
S. Abe, M. Yohda, A. Nishiyama, M. Nakatani, Y. Fujii, A. Kusuhara, E. Yamatoya, T. Ishida, T. Akasaka, M. Uo, F. Watari, D. Hayashi, and T. Takada
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Journal Title
Nano Biomedicine
Volume: 4
Pages: p29-34
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 有機・無機ナノマテリアルの生体への影響と体内動態の可視化2013
Author(s)
阿部薫明, 岩寺信喜, 半場悠介, 赤坂司, 山方秀一, 八若保孝, 飯田順一郎, 高田知哉, 米澤徹, 宇尾基弘, 亘理文夫
Organizer
第7回ナノ・バイオメディカル学会
Place of Presentation
京都テルサ(京都)
Year and Date
20130124-20130125
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[Presentation] Biodistribution and biocompatibility of water-soluble carbon nanotubes2012
Author(s)
阿部薫明, 伊藤佐智子, 小林宏寿, 木場隆之, 赤坂司, 八若保孝, 佐藤信一郎, 宇尾基弘, 亘理文夫, 林大輔, 高田知哉
Organizer
第43回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合討論会
Place of Presentation
東北大学(仙台)
Year and Date
20120904-20120906
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[Presentation] 有機・無機マイクロ・ナノ物質の体内動態の追跡とその生体への影響2012
Author(s)
阿部薫明, 岩寺信喜, 伊藤佐智子, 佐々木朗子, 石川紘佑, 赤坂司, 八若保孝, 宇尾基弘, 久保木芳徳, 林大輔, 高田知哉, 内田由樹, 成島隆, 米澤徹, 亘理文夫
Organizer
第6回ナノ・バイオメディカル学会
Place of Presentation
産業技術総合研究所(筑波)
Year and Date
20120709-20120710
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[Presentation] Bidistribution and biocompatibility of nano-sized materials: An in vivo and in vitro study2012
Author(s)
S. Abe, N. Iwadera, A. Sasaki, S. Itoh, T. Narushima, Y. Uchida, T. Akasaka, M. Uo, Y. Yawaka, T. Yonezawa, F. Watari
Organizer
9th World Biomaterial Congress 2012
Place of Presentation
International Conference Center (PRC)
Year and Date
20120602-20120605
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