2012 Fiscal Year Research-status Report
微小電流刺激と骨形成因子を応用したインプラント周囲骨増生法の開発
Project/Area Number |
24592954
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
原田 清 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30228639)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | デンタルインプラント / 微小電流刺激 / 骨形成因子 / 骨膜下挿入シート |
Research Abstract |
咬合や咀嚼機能回復のためのデンタルインプラントは近年その需要が高まりつつあるが、歯槽骨の条件が悪い場合には骨移植を前処置として行うなど、現状では二期的な手術が必要となり、患者にも負担になっている。そこで本研究では、微小電流刺激による骨形成能の活性化に着目し、インプラントを電極とする微小電流刺激実験を計画した。また、微小電流刺激による骨形成能をさらに活性化する目的で、骨形成因子等の生理活性物質を応用することも視野に入れ、最終的には人体応用への実用化を目指している。本法が実用化されれば、インプラント植立のために他部位から移植骨を採取する必要性は排除され、かつ一回の手術のみでインプラント周囲に骨増生がなされることから、患者の身体的負担をより軽減したインプラント埋入が可能となる。 平成24年度の前半ではイヌの下顎骨に対するインプラント埋入実験系を確立し、年度内にイヌにおける至適微小電流刺激の条件を検討、確立する予定であった。しかし、研究代表者の異動により本研究の申請書を提出した時と研究施設が変わったため、実験動物施設利用講習や実験に関する倫理審査を改めて受け、かつ、実験実施のための学内各種手続きや許可を経なければ実験が行えなかったため、実験の開始が平成25年に入ってからになってしまった。現在、イヌの実験系を確立している途中で、全身麻酔下に臼歯を抜歯し、同抜歯窩の治癒を待って、微小電流刺激のための電極として使用するスクリュウをまさにその顎堤に埋入しようとしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の施設異動に伴い、実験実施のための講習会受講や倫理審査の申請許可など、実験実施のための手続きを改めて多数受けなければ実験が行えなかったため、実際にイヌを使用しての動物実験の開始は平成25年の1月、つまり平成24年度の終盤になってしまった。現在イヌの臼歯の抜歯処置までは終了しているので、抜歯窩の治癒を待って微小電流刺激の電極用のスクリューを抜歯後の顎堤に植立しようとしているところである。さらに、本学の動物実験施設は平成25年8月より8か月間は改修工事が入るため、動物実験が実施できなくなる。そのために平成25年度も動物実験に関しては実施が予定よりもさらに大幅に遅れることは必定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の前半4か月:イヌの実験モデルは作製途上にあるので、イヌの顎骨に植立したスクリューを利用して実際に顎骨に微小電流を流し、骨増生の状況についてのサンプルスタディーを行う。具体的にはイヌの下顎臼歯抜歯後の顎堤にチタンスクリューを埋入し、マイオモニターを使用して微小電流刺激を加える。これを週に一度行って10週後に屠殺の上、下顎骨を摘出して軟X線写真撮影、組織像などにより骨増生の状況を観察する。次年度の後半8ヵ月:動物実験施設の改修工事に伴い動物実験が実施できなくなるので、その間はin vitroでの実験系の確立を目指し、骨形成因子含有の骨増生シートを試作してin vitroでの細胞の反応を観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験計画で費用が掛かるのが実験動物であるビーグル犬の購入である。次年度の前半4か月は動物実験が可能であるが、期間が4か月と限られているので1~2頭の購入に留める予定である。次年度の後半8か月は動物実験施設が工事のために使用できないため、当面はin vitroでの実験系に研究費を投入する。主にコストがかかるのがリコンビナントの試薬で、中でも骨増生のための生理活性物質である骨形成因子の入手には相当の費用がかかると予想される。動物実験が実施できない分、ビーグル犬の購入費用を生理活性物質の購入に充て、本年度は骨膜下挿入用の骨増生シートの開発を目指す。
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