2012 Fiscal Year Research-status Report
新たに発見されたチタンエイジング現象の網羅的解析と解決のための回復方法の探求
Project/Area Number |
24592971
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
堀 紀雄 神奈川歯科大学, 歯学部, その他 (20386832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 克彦 神奈川歯科大学, 神奈川歯科大学 歯学部, 教授 (70205011)
大野 晃教 神奈川歯科大学, 神奈川歯科大学 歯学部, 助教 (00611633)
小田切 憲 神奈川歯科大学, 神奈川歯科大学 歯学部, 助教 (60350534)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | チタン / エイジング / インプラント / 表面性状 / 濡れ性 / オッセオインテグレーション |
Research Abstract |
<本研究の目的>チタン材料は医科、歯科医療領域に使用されている。特にインプラント治療は年々需要は増加しているが、インプラント周囲に骨が出来ず失敗したり、骨が不足し施術が出来ない場合があり、より活性の高いチタン表面が求められている。チタン表面加工効果以上に、表面が加工されてからの時間経過により表面性状、生物学的応答が変化することを報告してきた。表面加工後からの表面特性の変化を物理的、化学的に検証を行った。変化した表面特性が生物学的応答と関連があるかどうか、タンパク吸着能、細胞接着能試験より検証を行うことを目的とした。さらに、表面劣化現象後の回復方法として光テクノロジーを応用した高エネルギーを持つ光源を使用し、回復方法として可能かどうかの探求も行なった。 <本年度の研究成果>チタン表面加工後からの時間経過により表面特性の変化が生じ、それに伴うインプラント周囲の骨形成能が低下することを確認した。表面加工後4週間自然放置したチタン表面では疎水性傾向へと変化し、タンパク吸着能は、加工直後新鮮面と比較し約3分の1まで性能が低下していることが確認された。表面に形成される骨形成量も加工直後と比較し、表面加工後4週間後では有意な骨形成料の減少が認められた。 現在、チタン表面は保管する時間経過によって表面効果は変化しないとの推測の上でチタンインプラントは使用されている。しかしながら、表面作製後、時間経過により表面特性が変化し、生物学的応答にも変化が発見されたことから、チタン表面改良の研究以前にチタンの材料特性をより詳細に理解する必要があり、この理解によりチタン自体の持っている能力を最大限引き出す取り扱いが今後、重要になってくると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究達成目標は、チタン表面の時間経過によって表面の物理的、化学的性状がどのように変化していくかを検証することとしていた。本年度の検証結果として、表面形態の観察、表面の濡れ性の変化、表面化学的構成の変化を捉え、各条件下において詳細に検証を行い、まとめることが出来ている。これに加え、表面改質方法としての光テクノロジーを応用した光照射の検証も平行して行うことが出来た。光照射には、様々な特徴を持つ波長領域を検証していき、最適となる波長、強度、また、複合波長についても検証を行うことが出来ており、時間経過により表面性状が変化し、骨を作る性能が低下している表面に設定した光を照射することにより、加工直後の高エネルギーを保持した状態に戻すことが出来るということも見出された。 次年度予定されていた動物実験による骨形成能の検討も着手しており、現在条件設定や、技術的な方法などの確立を開始しているところである。 以上のことから、本年度研究達成目標は全て達しており、次年度にむけての新たな所見を見出すべく取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究目標の達成度から、現在の手法、進め方は特に問題ないと思われる。しかしながら、さらに研究内容を充実させ、より詳細に明らかにするために共同研究機関との情報交換や意見を求め、検証方法を多角的に検証できるように進めて行く予定である。 今年度は、骨芽細胞を用いた細胞接着能をはじめ、動物実験も含めて検証を行う予定をしている。細胞実験は、ラット骨髄間葉系幹細胞由来の骨芽細胞様細胞の培養を行うが、培養に関してはすでに確立しており、機能解析などの基礎データーはすでに本年度終えており、把握している。各条件のチタン板上に、設定した細胞数を播種し、24時間の培養を行い、細胞数を計測する。細胞の増殖能力や細胞生存能力を発色測定により定量分析を行う予定である。加えて、各条件下のチタン板上の細胞の広がりなどを視覚化し、形態学的特長をつかむ為、条件時間培養後、細胞骨格と核を蛍光染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて観察する。観察された細胞は、細胞の広がり面積や大きさを定量化していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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