2012 Fiscal Year Research-status Report
新規アパタイトグラスアイオノマーセメントの物理化学的特性に関する研究
Project/Area Number |
24592975
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
有田 憲司 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (20168016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠永 ゆかり 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70531961)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラスアイオノマーセメント / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
平成24年度は新規開発材料であるアパタイトグラスアイオノマーセメント(AGIC)を試作し,機械的強度およびフッ化物溶出に関する検討を行った。 1)AGICの試作:平成24年度は充填用化学硬化型グラスアイオノマーセメント(GIC)(フジIXGP Extra,ジーシー社)のガラス粉末に球形ハイドロキシアパタイト(HApS)を0~24 wt%添加した試作AGIC用粉末を作製した。それぞれのAGIC粉末をフジIXGP Extra液と粉液比3.4で練和し,AGIC硬化体を作製した。 2)AGIC硬化体からのフッ化物溶出試験:それぞれのAGIC硬化体を蒸留水に浸漬し,37℃恒温下に保存し,24時間毎に浸漬液のフッ化物イオン濃度を測定した。その結果,HApSを18wt%添加したAGICにおいてHApSを添加しなかった群と比較して30日間のフッ化物溶出累積量が20%増加していた。その他のHApS添加群においてもフッ化物溶出量が増加する傾向にあった。 3)AGIC硬化体の機械的強度測定:それぞれのAGIC硬化体について練和から24時間後に3点曲げ試験を行った。HApSを6wt%もしくは12wt%添加してAGIC群はHApSを添加しなかった群に比べて有意に曲げ強さが強かった。 以上の結果は,今後の研究においてAGICの物理化学的特性を検討する上で,AGIC作製の至適条件を決定する有用なものであった。 4)新規AICの抗菌性の検討:ATP測定法を用いて練和開始1時間後の試料におけるS.mutansに対する抗菌性を測定したところ,8wt%添加群を浸漬した菌液の発光量は試料を浸漬しなかった菌液の発光量よりも有意に低く,制菌効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AGICの試作,機械的強度および抗菌性の評価については順調に進展しており,引き続き平成25年度も継続して行う予定である。特に,抗菌性の試験に関しては,平成24年度にプロトコールが確立されたことは非常に大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策であるが,まず,X線光電子分光分析装置(XPS)が平成24年度私立大学等研究設備整備費等補助金の交付により購入・設置されることが決定した。特に高精度のXPS(PHI X-tool,アルバックファイ社製)の導入は本研究の推進に大きく寄与するのは確実である。また,平成24年度の実施する予定であったエネルギー分散型エックス線分析装置の使用講習も終了したため,平成25年度より積極的な研究の実施が可能となる。一つは研究協力者の増員である。さらに,平成25年度より大学院生が2名加わり,協力体制が確立された。これは非常に大きな方策である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用を予定する研究費については,平成25年度に計画している「新規AGICから除放される各種イオンの同定および定量」に関して,外注費が予想以上にかかる見込みであるため,次年度に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)