2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト間葉系幹細胞を用いた効率的な歯槽骨再生療法の開発
Project/Area Number |
24592976
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
隈部 俊二 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (30288774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 美智子 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70368158)
乾 千珠子 (山本 千珠子) 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (00419459)
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Keywords | 再生医学 / 分化誘導 / 一部実施法 |
Research Abstract |
ヒト歯根膜由来細胞を用いて実験を行う前に、予備実験として年齢および性別の条件を一定にしたラット歯根膜由来細胞を用い、各種成長因子カクテルを添加して分化について検討した。現在までにすでに確立したラット歯根膜由来細胞の初代培養技法を用いて、昨年度に引き続きBMP2、デキサメタゾンのカクテルによる分化誘導実験を行った。分化についての検討は、細胞増殖ならびにALP活性の結果をもとにしている。また、成長因子候補の絞り込みのため、現在候補になっている12種類の成長因子の受容体RNAの発現を検索した結果、FGF受容体およびIGF受容体が発現していることが明らかになった。 今年度はすでに確立したラット歯根膜由来細胞の初代培養技法を用いて、BMP2およびデキサメタゾンのカクテルによる分化誘導実験を行った。細胞は初代もしくは継代1回の細胞のみを使用した。細胞をウェルに播種し、分化誘導後1日、7日、14日、17日、21日での細胞数ならびにALP活性を測定した。その結果、BMP2ならびにデキサメタゾン単独より、BMP2 100μMおよびデキサメタゾン 100nMの組み合わせがより分化することが明らかになった。BMP2 200μMおよびデキサメタゾン 200nMの組み合わせも有効であるが、現在BMP2 100μMおよびデキサメタゾン 100nMの組み合わせとの有用性の比較のため、さらに実験を続けて詳細に検討している。またBMP2 300μM以上およびデキサメタゾン 300nM以上の組み合わせでは分化誘導後7日以内に死滅することも明らかになった。デキサメタゾン100nM単独では分化のスピードは対照群とほぼ変化しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞をウェルに播種し、分化誘導後1日、7日、14日、17日、21日での細胞数ならびにALP活性を測定した。その結果、BMP2ならびにデキサメタゾン単独より、BMP2 100μMおよびデキサメタゾン 100nMの組み合わせがより分化することが明らかになった。BMP2 200μMおよびデキサメタゾン 200nMの組み合わせも有効であるが、現在BMP2 100μMおよびデキサメタゾン 100nMの組み合わせとの有用性の比較のため、さらに実験を続けて詳細に検討している。またBMP2 300μM以上およびデキサメタゾン 300nM以上の組み合わせでは分化誘導後7日以内に死滅することも明らかになった。デキサメタゾン100nM単独では分化のスピードは対照群とほぼ変化しなかった。 達成度は当初の予定よりやや遅れている。理由としてBMP2ならびにデキサメタゾン以外の成長因子についても実験を進めていく予定であるが、データの精度を高めるためにBMP2ならびにデキサメタゾンを用いた実験を当初の予定回数以上に何度も繰り返したことが挙げられる。また研究分担者が長期で海外研修を受けていたため、その間実験を進めることが難しかったことも遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は現在候補になっている12種類の成長因子のうち受容体RNAの発現がみられたFGF2および IGFも用いて成長因子カクテルを作製し、分化誘導実験を急いで進める予定である。 絞り込んだ成長因子の候補を用いてカクテルを作製し、ヒト細胞を用いる前に引き続きラット歯根膜由来細胞を用いて、最適な分化誘導候補を検索する予定である。その後成長因子の至適濃度を検討するため、分化誘導した細胞からmRNA を抽出し、骨芽細胞分化マーカー(Runx2、Osterix、Wnt、Smadなど)の発現を検討する。次に成長因子濃度の各上下10倍および100倍の濃度で成長因子カクテルを作製し、骨芽細胞分化マーカー(Runx2、Osterix、Wnt、Smadなど)の発現を検討する。ただしBMP2 300μM以上およびデキサメタゾン 300nM以上の組み合わせでは分化誘導後7日以内に死滅することが明らかになったため、他の成長因子に関しても同様の結果が出た場合は実験項目より外す。 以上の実験でラット歯根膜由来細胞を用いて12 種類の成長因子から最適な組み合わせと濃度を決定し、ヒト細胞でさらに実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度末に成長因子を購入しようと考えていたが、残額に比べて高額であったため、購入することが難しかった。このため残額を使用することができず、次年度使用額が生じることになった。 次年度は今年度に引き続きラット由来細胞を用いる予定である。このため、ラット購入費として30万円を計上する予定である。また細胞培養およびRT-PCR実施のため、培地やプライマーなど試薬の購入費として次年度使用額に加えて新たに75万円を計上予定である。細胞培養などに用いる器具購入費として10万円を計上する予定である。さらに研究成果を発表するため、国内学会(歯科基礎医学会、福岡市)参加費ならびに出張費(3名分)として計19万円を計上する予定である。 平成26年度は合計140万円を計上する予定である。
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