2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592988
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島末 洋 広島大学, 大学病院, 助教 (40335683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛梅 圭 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (40350037)
鎌田 伸之 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (70242211)
東川 晃一郎 広島大学, 大学病院, 講師 (80363084)
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Keywords | 癌の浸潤と転移 |
Research Abstract |
サイトカインや成長因子などの液性因子を介した癌細胞間、或いは癌細胞と間質細胞、そして炎症細胞間の相互作用は、癌組織の増殖、進展(浸潤や転移)に重要であることは広く知られているが、個々の細胞間での相互作用が、癌組織の進展のメカニズムに総合的に適応させることは困難である。しかし、我々は昨年度に液性因子CCN1が、癌細胞が分泌して癌細胞がオートクラインだけでなくパラクラインに作用し、集団的に浸潤するモデルを作成した。間質を介したこの相互作用は、他分子にも存在することは容易に想像できる。 そこで今年度は、galectin-1 (Gal-1)ガラクチン1に着目し、同様の検索をおこなったところ、ガラクチン1はintegrinsインテグリンα2とβ5を介してコレクティブマイクレーションを亢進させることがわかった。また、我々はEMT誘導因子であるSnailを過剰発現させた口腔扁平上皮癌由来細胞株を樹立しているが、この細胞にガラクチン1で刺激すると、EMT誘導率を上げながら、この細胞株の総合的浸潤能を亢進させることがわかった。 口腔扁平上皮癌のほとんどは、ネストを形成する上皮系癌細胞の集団のように見えるが、少数のEMT細胞がリードしていると想定される。しかし、EMT細胞の最適誘導率と最適細胞数は不明であり、少なくともEMT率の高い癌組織は悪性度が高く、臨床的にも予後が悪いことが知られている。したがって、このガラクチン1は癌組織の浸潤能を亢進させるのみならず、EMT癌細胞を増加させて悪性度を高める重要な因子であることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔癌の進展におけるガラクチン1が関与するメカニズムの一端が解明でき、論文を作成して受理された。 Autocrine galectin-1 promotes collective cell migration of squamous cell carcinoma cells through up-regulation of distinct integrins. Rizqiawan A, Tobiume K, Okui G, Yamamoto K, Shigeishi H, Ono S, Shimasue H, Takechi M, Higashikawa K, Kamata N.Biochem Biophys Res Commun. 2013 Nov 29;441(4):904-10.
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Strategy for Future Research Activity |
包括的な口腔癌の浸潤の進行モデル作製にあたり、昨年度および今年度はひとつづつコンポーネントのメカニズムを抽出することができた。来年度はさらに新たなメカニズムを探求し、多くのメカニズムから癌の浸潤抑制の臨床応用に有用な基礎データを得ることを目標とする。
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