2013 Fiscal Year Research-status Report
遊離皮弁生着率向上のための虚血再灌流障害抑制法の確立
Project/Area Number |
24592992
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
笹栗 正明 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (00225898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光安 岳志 九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
豊嶋 健史 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20546569)
中村 誠司 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
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Keywords | 遊離組織移植 / 虚血再灌流障害 / 微小血管吻合 |
Research Abstract |
平成24年度の結果でPrimary ischemia(PI)は4時間を超えると皮弁の血流障害を生じる危険性が高いことがわかった。またPIが6時間を超えると、閉鎖された皮弁内に血栓形成が生じていた。PIとSecondary ischemia(SI)ではSIのほうが短時間でも皮弁の血流に与える影響が大きかった。 本年度は虚血状態の皮弁に対する処理の違いによる血流障害発生の違いを検討した。虚血状態の皮弁に対する処理として皮弁を生理食塩水で満たしたNS群とヘパリン生食で満たしたHS群および無処理のNT群で血管吻合後の皮弁血流障害発生の違いを比較検討した。 【結果および考察】 Primary ischemia (PI)が2時間の皮弁血流障害の発生はNT群、NS群、HS群とも0%であった。PIが4時間ではNT群25%、NS群25%、HS群0%であった。PIが6時間ではNT群75%、NS群50%、HS群25%であった。このことから、虚血状態の皮弁内を生食で満たしておく事は、血管吻合後の皮弁血流障害の発生を抑制することがわかった。さらに、ヘパリンを加える方がより効果的と考えられる。しかし、これはヘパリンの抗血栓作用によるものか、虚血再灌流障害の発生が抑制された事によるものかは明らかではない。今後は各群における血管内の変化を検討し、虚血皮弁を生食やヘパリン加生食で満たす事は、皮弁から血液成分を除く事で単に血栓形成が抑制されているのか、ヘパリンの抗血栓作用によるものか、虚血再灌流障害の発生抑制につながっているのかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
勤務先の異動に伴う研究場所の移動や実験環境の変化により、異動前に予想していたほど効率的に実験を進められなかったことによりやや遅れ気味となったが、本年度は予定の実験が進められる。
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Strategy for Future Research Activity |
皮弁前処理により血管吻合後の皮弁血流障害発生の頻度が低下する事がわかった。その効果は単に抗血栓作用によるものか、虚血再灌流障害発生の抑制によるものかを明らかにするため、毛管内の変化をICAM-1, E-Selectinの発現や好中球エステラーゼ活性を測定し検討する。Secondary ischemia (SI) を生じさせた皮弁においても同様の検討を行い、SIにより虚血再灌流障害が生じるの否かを検討する。 最終的に初回吻合時の血流障害発生抑制のための皮弁の処理および吻合後血流障害が発生した場合の再吻合に際して効果的な皮弁処理方法を臨床に応用できる形で確立する。 実験にあたっては、動物実験施設を有効に活用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年4月より勤務先の異動にともなう実験環境の変化により、実験が遅れたたため物品費用の支出が少なかった。昨年度後半から実験環境を整えることができたため、本年度は昨年度から繰り越した物品費を使用して実験を進める予定である。 助成金は実験関連物品購入、学会参加費・旅費、データ解析ソフト、資料整理備品や論文印刷費印刷費に使用する。 本年度は昨年度からも繰越金は、昨年行えなかった実験を進める上で必要な実験動物、実験試薬、実験消耗品、デの購入に充てる。
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